ロイヤルエンフィールドに乗ってわかった凄み ヒマラヤ山麓1000km走破、中型2輪世界一の実力
生産システムの構築にはロイヤルエンフィールドの親会社であるトラックメーカー、アイシャー・グループを通じてUDトラックスから引き抜かれた日本人コンサルタントが深く関わっているという。
車両開発にはイギリス、スペイン、インドのテストコースにおける実走行だけでなく、シミュレーターを多用した操縦性、空力、振動特性の解析にも力を入れているようだった。朝から夕方までインドで開発したデータを、夜が明けたイギリスの開発センターで活用する、というような共同開発も行われているらしい。
つまり姿かたちは古のままに見えるロイヤルエンフィールドだが、中身は最新のメソッドで開発されているわけだ。
ところで、そもそもロイヤルエンフィールドがアイシャー・グループから買収されたのは1996年のことで、それなりに時間も経っているにもかかわらず、上記のような設備の新設が集中し、著しい急成長を遂げたのはここ5年(CAGR:年平均成長率37%以上)であるのはどういった理由によるのだろうか。
「ロイヤルエンフィールドはかつて、世界的な標準と異なる右足ギアチェンジの方式を続けていました。2008年以降に左足ギアチェンジのモデルを導入して以来、需要が国内外で大幅に拡大したことで投資や開発がさらに活発になったのです」工場で取材した製品開発担当エンジニアのプラディープ・マシュー氏はそう語った。
続々と新モデルが日本導入
2020年にロイヤルエンフィールドの正規輸入販売契約を締結したピーシーアイは、2022年2月の「クラシック350」日本導入発表にあたり「今後は四半期ごとに新しいニュースを届けられるだろう」と明らかにした。その言葉に沿うように同年8月には「ハンター350」の2023年日本導入を表明、そして10月13日には「スクラム411」の発売が発表された。
スクラム411はヒマラヤと基本的に共通のエンジンやフレームを用いながら、より日常的・都会的なシーンでのライディングに対応するマルチパーパス・クロスオーバー・モデルである。7タイプのカラーリングを用意してオーナーの嗜好に応えられることと、83万8200~85万3600円という、スクランブラー・タイプの輸入車としては抑えられた価格が訴求点だ。
活発な販売状況を基盤に急成長するアジアのモーターサイクル・メーカーと、長年世界をリードしてきた日本メーカーの距離は、少なくともベーシックな性能や装備に絞ったモデルではどんどん縮まっていくのではないか。ヒマラヤと過ごした7日間で、そんな風に考えさせられた。
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