ロイヤルエンフィールドに乗ってわかった凄み ヒマラヤ山麓1000km走破、中型2輪世界一の実力

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9 クラシカルな佇まいの「ヒマラヤ」だが、操る人の腕によっては機敏に動く
クラシカルなたたずまいの「ヒマラヤ」だが、操る人の腕によっては機敏に動く(撮影:河野正士)

また単気筒エンジンは低気圧の影響で若干パワーを失っているのは明らかながら、つねにライダーが意図したとおりのトルクを供給し続けてくれた。オフロード初心者の筆者でもおおむねツアーについて行けたのは、従順なヒマラヤの操縦性によるところが大きい。20台以上が1000kmの行程をいずれも大きなトラブルなく完走し、信頼性も証明してみせた。

全行程の2~3割はオフロードという過酷な道程ゆえ、ツアーに参加している最中は走ることで精一杯だったが、帰国後、手元に残された美しい写真を眺めながら素晴らしい思い出が作れた感動に浸っている。

夏季の限られた時期しか開催されないモト・ヒマラヤの次の機会は来年になるものの、現地集合(つまり飛行機代は含まず)でバイクレンタルや朝夕食を含む宿泊が用意され、医師やメカニックを含む伴走者がフォローアップしてくれて参加費2000ドル(約30万円、2022年の場合)は破格と言っていいと思う。

ただし、オフロード走行に適した装備の用意と持ち込みは各自しなければならないし、高山病対策や予防接種、現地の食事や衛生環境への対応も求められるなど入念な準備が不可欠だ。完全なオフロード初心者であれば、2輪車メーカーや専門のインストラクターが実施するオフロード講座を事前に受講しておくことも薦める。

生産現場はオートメーションに積極的

モト・ヒマラヤの日程を無事終えたあと、報道関係の参加者はインド南部、この国で第4の規模を持つチェンナイにあるロイヤルエンフィールドの本社と工場でレクチャーを受けた。人口過密と近代化途上が明らかで、貧困の影も差す混沌とした街だが、市街地中心部にある2019年完成の本社社屋はファッショナブル、15kmほど離れた郊外にある2016年完成のバラムバダガル工場は近代的かつクリーンであった。

もう1つの開発拠点であるイギリス・レスターのUKテック・センターも2017年完成、また今回訪問はかなわなかったがヒマラヤを生産するオラガダム工場も2012年に完成した新しい施設だ。

バラムバダガル工場では350ccエンジンを搭載する「クラシック」「メテオ」を中心に生産しており、年産60万台のキャパシティーがあるという。最終組立、塗装に加えエンジン部品の製造も行っており、マシニングセンタが340基、溶接ロボットが98台と、精度が求められる部分ではオートメーションにかなり力を入れているように見えた。

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