ロイヤルエンフィールドに乗ってわかった凄み ヒマラヤ山麓1000km走破、中型2輪世界一の実力
この地域に根付くブランド力と、アドベンチャー・バイクに対する需要の高まりを受け、ロイヤルエンフィールドは「ヒマラヤ」(Himalayan)を2016年に追加した。「ヒマラヤ山脈を巡るツーリングを、安全かつ効率的に乗り切るための最適解は?」という課題に真っ向から向き合って開発されたシンプルなモデルだ。
悪路で扱いやすく、オンロードでも快適なサスペンション・ストローク量、タイヤのトレッドパターン、199kgと軽い車体、800mmのシート高、そして最高出力は24.3馬力にすぎないが、豊かな低速トルクを生む411ccの空冷単気筒エンジンを組み合わせている。
7日間で1000km超、数々の難所に挑む
筆者が参加した「モト・ヒマラヤ2022」では20台あまりの「ヒマラヤ」が連なり、7日間で1000km超の行程をこなした。飛行機でレーの街に降り立ち、そこを起点にチベット仏教文化が残るヌブラ峡谷の美しいキャンプ場や、エメラルド・ブルーの水面がたとえようもなく美しい天空の湖「ツォ・モリリ」、中国国境にある幅10kmを超える巨大な湖で、周囲の雄大な山々を一望できる「パンゴン・ツォ」をはじめとする当地の名所をめぐりながら、標高5359mと、自動車が通れる峠としては世界で最も高い位置にある「カルドゥン・ラ」などの峠越え、腰までつかる深さの渡河など数々の難所に挑んだ。
それぞれの場所の美しさや、難関をくぐり抜けた達成感は限られた紙幅で語り尽くせないが、ヒマラヤ探訪で身にしみて感じるのは、標高が高いとこんなに世界が違うのか、ということだった。
ツアーのスタート地点であり、最も低い場所にあるレーでさえ標高3500m。この時点で酸素が薄く(海面の66%)、極度に乾燥していて、日差しは強烈だ。標高4000m弱の時点で植物にはほとんどお目にかかれなくなり、無機質な山肌が続く。個人差はあるようだが、筆者の場合は高山病による頭痛に走行中含めかなり悩まされ、モト・ヒマラヤのチームに随行している医師から酸素吸入の手当てを受けた日もあった。
チームには慣れない食事(毎日カレーが続く)で胃腸を壊した人もいたが、何かしらの体調不良でライディングに集中しにくくなったようなとき、マシンが思いどおりに動いてくれないと本当につらいものだ。ロイヤルエンフィールド・ヒマラヤは、オンロードでもオフロードでも柔らかすぎず、硬すぎずのサスペンションを備え、スピードさえ適度に保っていればさまざまな路面の不整をうまくいなしてくれる。
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