ハッピーターンの"魔法の粉"その知られざる進化 ローソン「からあげクン」とのコラボも

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もうひとつの特徴が「キャンディー状の個包装」だ。それまでの煎餅は袋にそのまま詰めていたが、ハッピーターンの場合はそれではパウダーが落ちてしまうという問題があった。また手が粉で汚れるということもあり、ひとつずつ個包装をすることに。

「当時の開発者たちは、不景気な社会に対して『幸せ(ハッピー)がお客様に戻って来る(ターン)』ようにと願いを込めて『ハッピーターン』とネーミングしたと聞いています。商品のキャッチコピーでも『しあわせがもどってくるくるハッピーターン』など使用したりしています」

「ハッピーパウダー」への執念

ハッピーターンは発売当初からコンセプトの変わらない商品だが、実は消費者の意見を取り入れながら密かに進化している。

2005年にはハッピーターンの生地に数ミリ単位で溝を入れ、粉の付着率を高める「パウダーポケット」を設置。よりパウダーが付着し濃厚な味になり、売り上げもアップした。

2007年にはパウダーポケットの中にさらに凸凹をつけてパウダーを落ちにくくする「パウダーキャッチ製法」も採用。これらは消費者の「食べる時にパウダーが落ちないようにしてほしい」という声を受けて実現したものだ。

パウダーポケットがあるおかげでハッピーパウダーが落ちずに食べられるという

その後、2009年にパウダーポケットの数を増やしたり、2015年にはパウダーポケットの大きさを大きくする「新パウダーキャッチ製法」を開発したりと、マイナーチェンジをしながら徐々に進化を遂げてきた。

そして2009年に開発したのが「ハッピーシャワー製法」だ。これは味付けの最後にコク旨のパウダーをシャワーのようにかけて仕上げる方法。2つのパウダーを重ねることで深い味わいを生み出すことに成功した。

「ハッピーシャワー製法を導入した際、味わいが変わったかどうかをお客様に投票いただく『ハッピーテイスティング』を実施しました。このような企画をしないと変化に気づいてもらえないと思ったために行ったのですが、実際に食べていただいて『変わった』『おいしくなった』という声を多数いただきました」

パウダー250%バージョン

とはいえ、消費者のハッピーパウダーに対する欲求は厳しい。「もっと粉感がほしい」という声も多数あるという。そこでコンビニを中心にパウダーをこれでもかというくらい増量した「パウダー250% ハッピーターン」を発売。また塩分が気になる人にむけては「減塩ハッピーターン」を投入するなど、消費者の声を商品に反映している。

消費者のなかにはパウダーのコクと旨味にハマり、“中毒”になってしまう人もいるという。パウダーを舐めて食べる人やご飯の上にかけて食べる人、納豆にパウダーを入れる人、お吸い物の味付けに使う人、そしてパウダーでお寿司を作る人など楽しみ方は多種多様。このような愛され方には亀田製菓も驚いているという。

次ページ「パウダーだけを売ってほしい」という声もあるが…
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