タバコやお酒より「孤独」が体に悪い不都合な真実 孤独感を感じる状況は、心身の多大なストレスに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アメリカのブリガム・ヤング大学のジュリアン・ホルト・ランスタッド教授たちの研究によると、喫煙が約1.6倍、過度の飲酒が約1.4倍死亡リスクを高めるのに対して、社会的孤立によって死亡リスクは1.9倍高くなるという結果が報告されています。つまり、人とのつながりが少ないことは、タバコやお酒の害を超えるほどのリスクがあるということです。

また、その後の研究では、孤独感やひとり暮らしも、健康のリスクを高めることがわかっています。孤立して、孤独感を感じる状況は、心身のストレスになるということです。

ひとり暮らしの人、リモートワークをしている人、高齢で家にいることが多い人などはとくに、「毎日、人とコミュニケーションをとる」ことを意識しましょう。

友人と食事をしたり、ボランティアや趣味のサークルに参加するなど、できるだけ人と会う機会をつくるのがベストですが、電話で話をするだけでも「癒やしホルモン」と言われるオキシトシンが分泌されることがわかっています。スマホやパソコンのアプリを使ったテレビ通話もよいですね。

どうしても時間がない日や相手と都合が合わないときは、LINEやメールでのやりとりでも、孤独感をやわらげることはできます。新型コロナウイルスの流行をきっかけに人と会う機会が減っているいまだからこそ、意識的に人とやりとりする時間を増やしていきましょう。

「病気の写真」を見ないことも大切

2011年、ブリティッシュコロンビア大学で行われた研究によると、「風邪をひいている人の写真」を見た被験者の血液を調べたところ、炎症性サイトカインの一種インターロイキン6の値が上昇することがわかりました。つまり、「風邪の人の写真を見ただけ」で、体の中に炎症が起こってしまうということです。

人は、「ものまね細胞」「共感細胞」などと言われる神経細胞「ミラーニューロン」を持っており、病気やケガの人を見たとき、つらくなったり、痛みを感じたりします。他人のネガティブな情報を耳にするだけで、まるで自分が経験したかのようなストレスを受けてしまうことがあるのです。

ところが一方、同じ研究で「銃をつきつけられている写真」を見た被験者では、インターロイキン6はほとんど増えなかったそう。この結果から予測できるのは病気などの情報にふれると体内で炎症が起こることがあるけれど、それはかならずしも感情と連動しているわけではないということです。

ネガティブな情報によってつらい、苦しいという気持ちになっても体内に炎症が発生しないこともあれば、反対にそういう気持ちはなくても知らないうちに炎症が起こることもあるのです。自分がどう感じるかにかかわらず、「ネガティブな情報自体」にふれる機会を減らすことを心がけましょう。

次ページ人はネガティブな情報に注意が向きやすい
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事