日本は「成熟した債権国」の終わりに来ているのか 季節調整値で2カ月連続の「経常収支赤字」を記録
10月10日、財務省より発表された日本の8月国際収支統計は経常収支が8月としては現行統計開始以来で最小の黒字589億円にとどまった。すでに発表済みの8月貿易統計が2.8兆円と史上最大の赤字を記録しているため、低水準の経常黒字は予想されたものではある。
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商品市況は夏前にピークアウトしているものの、輸入統計における鉱物性燃料価格へ反映されるにはしばらく時間がかかる。また、時節柄、円安で輸入金額が押し上げられているというデメリットがクローズアップされやすいが、第一次所得収支黒字が円安で膨らんでいるという実情も踏まえ、総合的に評価されるべきではあるだろう。
単純に「対外収支の赤字が大きいのは円安のせい」という主張に帰着させようというのは乱暴である。基本的には商品市況の落ち着きとともに赤字額は減っていくはずだ。
本当の見どころは季節調整値
もっとも、国際収支・経常収支が示す構造的な変化には注目する必要がある。その意味で特に今回、ヘッドラインで報じられる原数値ではなく季節調整値は重要である。季節調整済みの8月経常収支は5305億円の赤字と2カ月連続で赤字を記録している。これは現行統計で比較可能な1996年以降では初めての動きだ。
今年の春以降、筆者は今次円安を、単に金利差だけから説明して「ドル高の裏返し」と整理することの危うさを繰り返し指摘してきた(例:2022年4月14日東洋経済オンライン記事『126円突破の背景は「ドル高」ではなく「円安」だ』)。
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