個人の「遺伝子情報」がわかる時代に起きること 遺伝的な疾病の要因がわかるが、差別要因にも

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陰電子情報の解析がビジネスや社会に及ぼす影響とは(写真:anamejia18/PIXTA)
デジタルの次の革新的技術として産業界・学術界から注目される「バイオテクノロジー」。その中でも遺伝子情報の解析は、医療分野や私たちの日々の生活を大きく変えるだけでなく、肌の色や身長といった情報も「書き換える」ことが可能になるなど倫理的な問題もはらんでいます。本稿では齊藤三希子氏の新著『バイオエコノミーの時代―BioTechが新しい経済社会を生み出す』より、遺伝子情報の解析がビジネスや社会に及ぼす影響をお伝えします。

自分の遺伝子情報を「知る」時代に

遺伝子はシステム同様にプログラムされ、バグを修正できるようになると考えられます。ゲノム編集技術の進展、革新的なゲノム編集技術CRISPR-Cas9の登場により、あらゆる生物の遺伝子情報を文章のように、簡単に編集できる時代が目の前にきています。

ゲノム編集により、あらゆる生物が抗うことのできない運命と思われてきた“老化”をコントロールできるようになりつつあります。われわれは、最先端のバイオテクノロジーを駆使すれば、生命そのものを操ることができる段階にまできました。これまで考えられてきた生物の限界線が変わり、新しい時代に入っています。

バイオテクノロジーは、デジタル技術と同様、工学だけではなく、脳科学、人工知能、コンピュータサイエンスなど、さまざまな分野とつながってきており、SF映画や小説、漫画のなかの世界でしかありえなかったことが現実化してきています。

血液型や誕生日と同様、自分の遺伝情報を把握することが一般的となる時代が到来しています。ゲノム解析技術の急速な革新によって、ゲノム解読コストの低減化、短時間化が可能となり、解析コストは1990年と比較して100万分の1以下となっています。

最近では、健康な人でもDNAの解析により、がんの発症に係る遺伝子の変異が起き始めていることがわかるようになりました。近い将来、遺伝子の変異度合いにより、いつくらいに、どのくらいの確率でがんが発症するかを予測できるようになるでしょう。

パーソナルゲノムを解析し、あらかじめ遺伝的な疾患を把握しておくことができれば、食事や運動、睡眠などの生活習慣について気を付けることにより、疾患の発生を招く環境要因リスクをある程度低減化することが可能です。

これまでのような発症後の治療中心ではなく、発症前から予防措置をとることができるようになり、予防中心にシフトできます。これまでの予防医療が劇的に変わります。

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