子どもの同意を得てSNSで公表していたとしても、その子どもの同意が、「自分の写真や私生活上の事柄がSNS上で公表されると、その結果どうなるか」という具体的な影響まできちんと認識したうえでの同意といえない場合には、肖像権侵害やプライバシー権侵害の問題は残ります。
子どもの同意と年齢による有効性
子どもといっても、その年齢の幅は0歳から17歳と非常に広く、SNSへの理解度も年齢や子どもによって異なります。低年齢であればあるほど、SNSでの公表に対する同意は、有効にならない可能性が高くなると思われます。
なお、法的に肖像権侵害やプライバシー権侵害になりうるとしても、直ちにそれが問題になったり紛争になったりはしないかもしれません。親が子どもの写真や私生活上の事柄をSNSで公表することによる肖像権侵害やプライバシー権侵害が現実に問題になるとしたら、それは、子どもが小さいときではなく、子どもが年齢を重ねていろいろなことへの判断がつくようになったときです。
自身の写真や私生活上の事柄が公表されていることを知り、「自分の写真や私生活上の事柄を親に公表されたくない、公表されたくなかった」と考えたときだと思います。
子どもが上記のように考えてそれを親に伝えたとき、親がSNSでの公表をやめ削除するということで解決するケースも多いでしょう。
しかし、公表された写真や私生活上の事柄の内容によっては、子どもが親に対して肖像権侵害やプライバシー権侵害に基づく損害賠償請求等を行うことは可能です。損害賠償請求等にまで発展するケースは実際にはまれだと思いますが、親が子どもの写真や私生活上の事柄をSNSで公表する場合、このような可能性があるということは、知っておくべきです。
海外の事例ですが、オーストリアの18歳の女性が、両親を被告として訴訟を起こしたことが過去ニュースになりました。両親は、幼い頃の彼女を撮影してフェイスブックに彼女の同意なく写真を投稿し、彼女が削除要求したにもかかわらず写真削除を拒否したそうです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら