シダックスTOB、混乱を収束させた「直接交渉」 オイシックスが27%出資へ、具体策は今度提案

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創業家とは特別委員会の打ち出す方針を尊重するなどの誓約書を交わした。また創業家は特別委員会の人選には関与せず、オイシックスとの提携を諮る取締役会議決には参加しないことも確認された。

こうした枠組みによって、シダックスの取締役会は、フード関連事業の協業について公正な検討を行う体制はできたと判断、TOBに反対の意見を取り下げた。「中立」にとどまるのは、現時点でオイシックスから協業の具体的な提案がなく、オイシックスのTOBが、シダックスの企業価値向上につながるか検討することができないからとする。

具体的な強化策こそ求められる

肝心なのは、特別委員会を始めとした新しい枠組みが機能するかだ。フード関連事業はシダックスにとって主要な事業ながら、業界では7、8番手に甘んじている。

まずは検討委員会でオイシックスとの協業を進めるが、オイシックスが具体的にどのような協業内容を提案してくるかが、最初の焦点となる。

オイシックス以外の協業候補が出てくるかは、現時点で不透明だ。外食大手のコロワイドも買収に手を挙げていたが、今回の混乱もあって撤回した。これまではユニゾンがいずれ保有株を売却することを前提に、「月に1、2つはアライアンスの提案が来ていた」(柴山専務)という。

結局のところ、今回、フード関連事業として決まったことは何もない。シダックスにとっては、単独での展開を含め、あらゆる選択肢を検討する「時間的猶予」ができたにすぎない。そもそも第三者で構成する特別委員会が、事業の価値を的確に判断することができるのかという問題もある。その中で建前論ではなく、具体的な強化策こそが求められる。

そして最大の課題は、創業家との関係の再構築だろう。今回の混乱は、創業家と会社側の意思疎通が不十分だったことが主因だ。今後創業家はオイシックスとの協業に関する意思決定にかかわらない枠組みにして、創業家の利益相反行為を抑制するが、逆にいえば、わざわざこうした枠組みを作らなければならなかったということでもある。

今後シダックスとして企業統治(ガバナンス)体制の再構築も必要になるだろう。シダックスにとっての正念場はまさにこれからになる。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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