食中毒の元凶「アニサキスと戦う男」の壮絶な実験 アジの加工品を作る水産加工会社の試行錯誤
この装置の仕様に基づいて作られたプロトタイプができたのは、2021年の1月。福岡にあるジャパンシーフーズの工場に運ばれた。装置全体は高さ2m、幅は6m×4mとなった。重さは数100kg。これをフォークリフトで工場の2階(高さ6m)まで持ち上げて設置。微調整を行ったうえ、その半年後から安定した試験稼働を始めている。
将来的には「馬刺し」にも挑戦したい
同社では現在、毎日約4トンのアジ加工品を出荷する。そのうちアニサキス殺虫装置でまかなえるのは、たったの300kg。残りについては今までと同じ紫外線を使った対策を行っている。
たくさんの処理を行えないのは、現在は作業員が手作業で、アジの入ったカゴの出し入れを行っているためだ。「これを改善し、いずれはベルトコンベアで順次、製品を流しながら処理をする装置にしたい。そのために今も開発を進めています」と浪平さん。そのうえでこうも話す。
「ゆくゆくは、アジだけでなくほかの魚や、肉にも応用していきたい。例えば、熊本は馬肉が有名ですが、現在は寄生虫の問題があって馬刺しは冷凍したものしか食べられない。そこを変えていきたい」
この装置を多くの工場へというのは、井上さんも思いは同じだ。
「アニサキスは弊社のみならず、水産業界では長らく苦しめられている問題。この装置で水産業界をアニサキスから解放したい」
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