一介の小売業者がGAFAの攻勢から防衛できた理由 エコシステム戦略は持たざる弱者のためにある
ビジネスの競争原理が変わりつつある。今までは明確に定義された業界が存在し、ライバル企業と同じ目的を持って、コストや品質で顧客をめぐって争っていた。しかし今は、業界の垣根が消失し、より幅広い価値提案を行うエコシステム(生態系)を築いた者のみが戦いに参加できる時代に入っている。
しかし、その戦略を使えるのは、巨大企業だけではない。むしろ弱者こそがゲームチェンジを起こせるきっかけになる。本稿では、ロン・アドナー(ダートマス大学教授)の『エコシステム・ディスラプション』の監訳者であり、経営学系YouTuberとしても著名な中川功一氏が、弱者こそエコシステム・ディスラプション戦略を活用すべきと説く。
エコシステム戦略は、弱者のための戦略
消費者のマインドの変化や、DXや、コト消費の普及などによって、単体の製品から広がりを見せるようになった顧客の価値構造。
カメラでいえば、撮影し、ストックし、編集し、共有するまでが顧客価値。単体のカメラではなく、クラウドストレージ、編集アプリ、SNSでの共有までをフルセットで提案したスマートフォンが業界を覆した。
ショッピングでいえば、洋服を買うだけでなく、流行りのスイーツ、休憩のカフェ、映画館、ドラッグストア、書店などをひとまとまりに提案したモール形態が業界を変えた。
このような、顧客の価値構造の広がりの全体を、企業連合でカバーして提供するのが、アメリカの経営学者ロン・アドナーが近著『エコシステム・ディスラプション』で提唱するエコシステム戦略である。
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