「NISA拡充」でも投資環境が整ったと言えない理由 本当に求められる「金融リテラシー」とは何か?

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

例えば、「うんこドリル」と連携してインターネット上でお金について楽しく学べる小学生向けコンテンツ「うんこお金ドリル」を公表したり、金融リテラシーの必要性や、つみたてNISAについて金融庁の高田英樹総合政策課長とひろゆき氏が対談する動画をYouTubeに公開するなどしている。

両方ともSNS上では賛否両論あり、特に後者については炎上していたようにも見受けられるが、金融庁の本気度合いは感じられるだろう。

金融教育=投資教育は避けるべき

筆者が金融教育ベンチャーのマネネを創業した2018年から考えると、現在は金融教育という言葉の認知度は劇的に上がってきて嬉しい限りなのだが、1つ懸念しているのは「金融教育=投資教育」になりそうであるということだ。

いま私たちが生活をしているこの世の中において、お金は切っても切れない存在である。働いてお金を稼ぎ、そのお金を使って生活をしているという事実がある以上、「お金に興味がある人は卑しい」などという価値観を持っていようがいまいが、お金についての知識があるほうがないよりはマシであることは間違いない。

それでは、お金とは何か。意外とこの質問にしっかりと答えられる大人は多くない。そして、そのお金はどのように社会を回っているのか。税金や社会保障、企業会計、経済政策など、お金に関する多くのことを幅広く学ぶことが金融教育の理想像であり、当然、その中には投資(資産運用)も含まれるというのが筆者の理解である。

もちろん、現時点では金融リテラシーを向上させたところで、受験で有利になることもなく、教える側からしても英語やプログラミングなど、既存のカリキュラムに次々に新しい内容が追加されている中で、さらに幅広い金融教育などやる余裕もない。

このような現実を考えれば、学校教育にすべてを期待するのはあまりに酷であり、やはりそこは家庭での教育というのが現実的な路線となるのだろう。

次ページミクロとマクロの区別が重要
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事