2022年も残すところ3カ月を切ったが、今年は「金融リテラシー」や「金融教育」という言葉を耳にする機会が急激に増えた1年となりそうだ。4月から高校の家庭科の授業のなかで金融教育が始まるという報道や、金融庁が8月末に公表した「2022事務年度金融行政方針」の内容を受けて、一部メディアが「金融教育が国家戦略として掲げられた」と報じたことが大きかったのだろう。
しかし、本当に求められる金融リテラシーとはどのようなものであり、果たしてそれが現行の金融教育で身につけられるのか、の疑問に対する解はいまだ不透明である。今回は本当に求められる金融リテラシーについて述べていく。
金融教育が国家戦略に?
金融庁が8月末に公表した「2022事務年度金融行政方針」のなかに以下のような記載がある。
(出所)金融庁「2022事務年度金融行政方針」
まだ詳細は決まっていないが、現在政府は「資産所得倍増プラン」の一環として、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革など、既存の非課税制度を改善する予定であり、同時に金融事業者に対しても顧客、つまり個人投資家を第一に考えた業務運営をするように促していく。
これらが実現すれば投資によって老後資産を形成しようとする個人投資家には好ましい環境改善といえよう。しかし、これだけでは十分ではない。残る課題は金融リテラシーの向上だ。
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