もしかして「うつ」?心と体に起きる5つの変化 日常の些細な出来事に対しても不安感を覚える
現代はインフラが整い、ある程度先を見通すことができる社会のなかで、ルールを守りながら生活をしていれば、原始時代のように猛獣など外敵から襲われたり、生命を脅かされることはほとんどありません。
むしろ必要なのは、論理的に思考し、今やるべき課題に取り組み、客観的な事実やデータに基づいて将来をシミュレーションする「理性プログラム」です。このプログラムにより、社会のなかでのメリット、デメリットを考え、総合的に利益につながるように判断しながら生きています。
しかし時として、この「理性プログラム」が停止してしまうことがあります。それは、何か危機に直面して「感情プログラム」が一斉に発動し、「別人モード(うつ状態)」になったとき。自分でも気づかないうちに、感情的になっているのです。
これらの感情は、次の危険を予測して、必死に対策を考えさせようとします。そのため、うつ状態では考えないように努力して、一瞬それができた気がしても、しばらくするとまた考え始めてしまいます。
一斉発動した感情プログラムが収まるのは、原始時代の人であれば、猛獣からなんとか逃げおおせ、命の危機が去り、「もう大丈夫」と脳が判断したときですが、現代の危機は「疲労が原因」のため、脳が「もう大丈夫」と疲労の回復を認識するまで、かなりの時間がかかります。その間は感情プログラムが発動し続ける、つまり考え続けてしまうのです。
思考も感情も止められない
人は何かで煮詰まってしまったり、ネガティブな思考から抜け出せなくなったりしたとき、「一度考えることをやめよう」とするものです。たとえば、気分転換したり、一晩寝てみたり、友人と話をしてみたりすることで、新しいアイディアや、解決策が浮かぶといった体験をしたことがある人は多いでしょう。
そんなあなたは、大切な人が考えすぎて苦しんでいる姿を見て、「そんなに苦しいなら考えることをやめればいいじゃないか」とアドバイスをしたくなるかもしれません。ところが、うつになると、この「思考を止める」ということができなくなってしまうのです。