手取り9万8千円で働く「図書館司書」の悲痛な叫び 7割超が非正規職員の現実、待遇求め署名活動

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2020年度からは「会計年度任用職員制度」が始まり、図書館で働く多くの非正規雇用職員が、会計年度任用職員に移行した。滝本さんもその一人だ。

会計年度任用職員制度は、地方自治体によって法的根拠がバラバラだった非常勤職員や臨時職員の地位を明確にし、休暇や福利厚生、手当などの拡充をはかる目的で導入された。

しかし、雇用される側の不安は増えたと渡辺代表は話す。

「法的根拠もあいまいだった非常勤や臨時職員の位置づけをおこない、待遇を改善するという制度設計であったはずが、雇用はさらに不安定になりました。一会計年度毎に任用される職とされてしまったことで、いつ雇い止めにあうかわからず、安心して働けずに、将来設計もできない。心身の不調をもたらす人も少なくありません。司書も継続した仕事とみなされず、専門性がより評価されにくくなりました」

「非正規職員が増えれば図書館の財産が失われる」

図書館にとって、非正規職員が増えることによる弊害は大きいと、図書館運営に携わったことのある渡辺代表は指摘する。

「図書館の資料は、ただ保管しておけばよいのではありません。適切に管理保存していくことによって、現在のまた将来の利用者に提供していくことが必要なのです。

司書が専門職として力を発揮するためには、組織としての司書のチームワークが必要です。一年毎のコマ切れ雇用では、将来にわたる図書館サービスを構築できません。

司書が専門職として自信と誇りをもって安心して働くことができなければ、地域の図書館が営々と積み重ねてきた財産を失ってしまうことになるからです」

はむねっとが今年5月から6月にかけておこなった非正規雇用の女性を対象した調査(https://nrwwu.com/survey-2/1769/)には、図書館員の声が多く寄せられていた。これは、関東地方の50代女性の声だ。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

「司書は国家資格を持っている、教育・文化に関わる大事な業務を担っています。単なる貸本屋ではなく、知識と経験の蓄積が重要な仕事です。欧米などではきちんとその価値が認識され、少なくとも教員などとは同等の待遇で扱われています。

日本では、いくら能力のある司書でも、数少ない正規公務員として採用でもされない限り、司書として生計を立てていくことができません。子どもや教育を大切にせずして、この国に良き未来はありません」

(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

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