TDK、8年ぶりの国内新工場で目指すこと

「円安だから国内」ではない新たな生産戦略

TDKの今2015年3月期営業益見通しは前期比ほぼ倍増の700億円。余勢を駆って新工場建設に250億円を投じる(撮影:尾形文繁)

電子部品大手のTDK が、2月26日、秋田県の本荘工場と稲倉工場に新工場を合計2棟設置することを発表した。本荘工場新棟は延床面積が5万平方メートルで、高周波部品等の電子部品を作る予定。稲倉新工場は1万5000平方メートルで、コイルなどの材料であるフェライト材料を作る。共に2016年夏竣工予定で、投資額は合計250億円だ。

TDKは2009年から2011年にかけて秋田県の工場を集約・閉鎖しており、今回の工場新設はその方針を転換したように見える。昨今、円安を背景に生産の国内回帰が叫ばれているが、「2009年から2011年にかけて国内工場を閉鎖・集約してきたのは事実。だが、これまで閉鎖・集約してきたのは不採算製品のラインで、今回建てるのは技術拠点としてのマザー工場。円安という背景はあるものの、円高だから海外に移り、円安だから戻したという単純な話ではない」(TDK広報)という。

電子部品の需要増に対応

では、いったいどのような意図があるのか。今回建設される新工場には二つの意味合いがある。一つは高まる電子部品需要に対する増産という面だ。アップルや小米(シャオミ)などのスマホ各社の販売台数が好調に伸びたことによりTDKの高周波部品やインダクタ、リチウムポリマー電池が急速に成長。さらに、SSD(ソリッドステートドライブ)やスマホなどによる置き換えによって苦戦が続いていたHDD(ハードディスクドライブ)ヘッドも、データセンター向けの伸びによって底打ちになっている。

円安の追い風もあり、2015年3月期第3四半期の売上高は過去最高8020億円。通期の会社営業利益見通しは前期比ほぼ倍増の700億円を見込む。今回の新工場で主に生産するのは高周波部品や、インダクタの原料であるフェライト。今後も引き続き高まるスマホ向け需要に対応するための設備増強というわけだ。

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