TDK、8年ぶりの国内新工場で目指すこと 「円安だから国内」ではない新たな生産戦略

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もう一つは、生産技術の開発拠点という位置付けだ。これまで、TDKは生産のかなりの部分を中国工場が占めてきた。が、近年は上昇の一途を辿る人件費への対応が迫られている。そこで現在行っているのが生産の"ロケーションフリー化"だ。自動化技術を磨くことによって、どの地域で作っても高品質で作ることが出来るようにする。

工場のエリア選定がより自由に

今回の新工場はそのマザー工場としての機能を持つ。本社や研究開発拠点に近い国内で技術開発を行い、培った生産技術を国内外に生かすことで、需要のある地域で部品生産を行う「地産地消」に近づきつつある。

「これまでは新しく工場を作るとき、労賃がどうしても重要な要素だった。今のところ中国工場を閉鎖・移転するという事は考えていないが、新規で工場を作るときにより自由に場所を選ぶことが出来るようになる」(TDK広報)。

中国を始めとした新興国の労務費高騰は、多くのメーカーにとっての悩みの種。国内にマザー工場を設置して自動化技術を蓄え、それをもって生産体制を再編していく流れは今後一つのトレンドとなりそうだ。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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