子育て中の社員だけが使える制度を整えても、真に女性が働きやすい職場は作れない。
「出生率1.97」
伊藤忠商事が4月に公表した2021年度における女性社員の期間合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は、同年度の日本の出生率である1.30を大きく上回る数値だった。2010年度には0.94だったのが、劇的に上昇した格好だ。
海外への赴任や営業活動など、仕事がハードで男社会のイメージが強い同社だが、出産した社員が働き続けようと思える企業になりつつある背景には、2010年から試行錯誤をしてきた働き方改革の成果があるという。
とくに効果的だったと自負するのが、2013年に導入された朝型勤務制度だ。20時以降の勤務を原則禁止とし、早朝の5〜8時までに勤務した場合には、深夜残業と同様に割増し賃金を支払う。今は、5割を超える社員が8時前に出社している。
仕事を朝型にすれば、なぜ女性社員は働き続けられるのか。元厚生労働省事務次官で、伊藤忠の社外取締役として女性活躍推進委員会の委員長も務める村木厚子氏に聞いた。
2010年度に0.94→2021年度に1.97
――伊藤忠は今年、女性社員の出生率の推移を公表しました。2010年度に0.94と全国の出生率より低かったのが、2015年度に1.54、2021年度に1.97と急上昇しています。
伊藤忠は今回、これまでやってきた女性活躍の取り組みに関するデータを徹底的に整理し、何がダメで、何が効果的だったのかを洗い出した。そこでわかったのが、全社的な働き方改革を実施してから出生率が大きく上がっているということ。因果関係の証明はできないが、そう受け止めている。
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