子育て支援を拡充するうえで重要なのが、子どもがいない世帯や高齢者も含めて社会全体で子どもを育てる、という意識だ。
7月10日に投開票を迎える参議院議員選挙で、争点の1つとなっているのが少子化対策だ。
少子化が社会問題化したのは30年も前のことだが、2005年の1.26を底に一時期1.4台まで回復していた出生率は再び1.3まで急落している。1年間に生まれた子どもの数も、約81万人と過去最少だった。
少子化の背景の1つと考えられるのが、育児や教育に対する経済的な不安だ。日本の子育て支援政策も、先進諸国の中で手厚いとはいいがたい。
子どもを希望する人が、安心して産み育てられる社会にするためには、どのような支援が有効なのか。必要な財源はどこから確保するのか。
家族政策に詳しく、少子化政策の有識者としても活動する中京大学の松田茂樹教授に聞いた。
子育て支援の目安は「GDP比3%の水準」が目安
──日本の子育て支援政策は、ヨーロッパの主要国に比べて後れを取っているといわれます。
長年子育て支援に取り組んできたイギリス、フランス、スウェーデンなどヨーロッパの主要国は、子育て支援などに用いられる「家族関連社会支出」が対GDP(国内総生産)比で3%を超えている。とくに力を入れているのがフランスで、出産促進が目的と見られる給付金や税制優遇を行い、4%近く支出しているのが現状だ。
対する日本はというと、足元で2%ほど。かつては1%程度だったから拡充されてはいるが、それでもまだヨーロッパの主要国とは乖離が大きいため「3%の水準を目安にすべき」というのが私の意見だ。
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