非正規社員などが拡大する中、「世間並み」になれる見込みがない若者にとっての結婚や出産は回避すべき「リスク」となった。

近年は男性が女性にある程度の収入を求める傾向が強まっている(撮影:今井康一)
毎年6月、前年の出生数が公表されるたび、年中行事のように少子化が話題になり、少し経つと忘れられる。30年以上前から認知されていた問題にもかかわらず、「若者の価値観が変わった」「女性の社会進出が」といった同じようなタイトルの記事が躍り、「育児支援の充実を」で締めくくられる。
「1.57ショック」という言葉が作られ、合計特殊出生率という専門用語が一般化したのは1990年のこと。そして、少子社会という言葉で、少子化に警鐘を鳴らした『国民生活白書』が出たのは、ちょうど30年前の1992年である。その後30年間、合計特殊出生率は1.25〜1.50の間にあり、多少の上下はあるものの低位で安定している。少子化の最大の要因である未婚率は上昇傾向にあったが、2000年ごろから若年者の未婚率上昇は頭打ちになり、こちらも安定している。
30年間ほとんど変わらない構造
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