「高学歴=幸せ」信じ、子育てする親がズレてる訳 個性や特性を無視して理想を押しつけるのが問題だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかしいまの時代、「日本で高偏差値の大学に入ることが子どもの幸せに直結する」と、どこまで確信を持って言い切れるでしょうか。

「IQよりEQ(Emotional Quotient:心の知能指数)」と言われるように、どんな学校に入るかとか、どんな企業に入社するかといった表面的な成果を目的にするのではなく、「幸せになることが得意な人格」の形成を目的にすべきだと私自身は思うのです。

世界標準の教育目標と日本の乖離

ここで、視点を世界に広げてみましょう。フランス・パリに本部を置き、経済と教育の関係性を不可分のものとするOECD(経済協力開発機構)が世界中の教育者たちと20年もかけて議論し、言語化した教育目標があります。それが「ラーニングフレームワーク2030」です。言ってみれば、「これからの時代に教育者たちが目指すべき世界共通のゴール」です。

このフレームワークによると、教育の最終目標は「社会全体のウェルビーイング(社会全体が良くあること=人々が心身ともに健康で幸福であること)」とあります。

では、「社会全体のウェルビーイング」を実現するためにはどうすべきか。OECDは、個人に次の3つの資質を求めています。

・物事に主体的に関わる力
・クリエイティブな力
・対立を解消する力

これらの資質は、まさに世界の産業界全体で求められている能力と言えます。

欧米の教育者たちは、こうした資質を持つ子どもたちを「社会全体で育てる」にはどうしたらいいかを真剣に議論し、現場に落とし込む教育改革を何十年にもわたって続けています。
翻って、日本ではどうでしょう。日本の学校教育において個人の資質として求められていることは相変わらず「ペーパーテストを解く力」が主流です。

次ページ一流大学を出たところで
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事