「高学歴=幸せ」信じ、子育てする親がズレてる訳 個性や特性を無視して理想を押しつけるのが問題だ
このように、経済や国力の観点から見れば、日本の教育は十分に機能しているとはとても言えない状態であることがおわかりいただけると思います。それはつまり、日本社会全体に停滞を打ち破るような変革者がまったくと言っていいほど現れていないということでもあります。
その根本にあるのが、子どもたちに同質性を求めるあまり、個性を異物とみなす学校教育であり、テストでいい点数をとった人間だけを優秀な人材とみなす学力至上主義なのです。
才能の一極集中が日本の再浮上を妨げる
ここで警鐘を鳴らしておきたいのが、日本の超エリート層にはびこる「東大理科三類(医学部)至上主義問題」です。
小さい頃から神童扱いされる子どもが、周囲の大人から「これは将来、理三で医者だね」と言われ続けて育つ。本人も大学の偏差値ランキングを見るたびに「理三」が一番上にあるので、そこを目指すことに疑問を感じなくなる。
このように、子どもの高学力の証明のためだけに理三を目指させる大人が少なくありません。しかしその結果、理三に入っても医療の世界に進まない人や、人格的に問題のある医師が生まれてしまう、ということが実際に起きています。
ただ、この傾向は数年前から少しずつ変わり始めています。たとえば、数年前まで灘高で成績上位の卒業生のほとんどが東大理三や京大医学部を志望していましたが、この2、3年、東大理一などの情報系学部を目指す学生が増えているそうです。
ITバブルが弾けた2000年以降しばらくの間、情報系学部は世界的に不人気でした。その時代からすると隔世の感がありますが、いまでは海外の著名IT起業家は大学でコンピューターサイエンスを専攻していたり、巨大IT企業の花形職種がソフトウェアエンジニアであることが、情報系学部の人気を確固たるものにしています。このように、あらゆる産業分野に優秀な人材が散らばる流れが広がっていっているのです。
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