「スニーカー転売屋」ホームレスまで誘う巧妙手口 ECでもbotが自動購入、普通の手段で入手困難に

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スニーカー「転売屋」の実態とは? 画像はイメージ(写真:Jake Images/PIXTA)
スニーカーブームの現在、新作が発売されてすぐに完売となり、フリマサイトなどで定価の数倍で取引される商品は珍しくない。この熱狂ぶりは「スニーカーバブル」とも呼ばれ、新作を買い占める「転売屋」に対して、スニーカーショップはさまざまな対抗策を講じている。
スニーカーショップ「チャプター(CHAPTER)」や「atmos(アトモス)」を手掛けてきた本明秀文氏の著書『SHOE LIFE「400億円」のスニーカーショップを作った男』から一部抜粋してお届けする。

転売屋とドレスコード

今回のスニーカーブームは一部で「転売ブーム」と言われるほど、転売屋も目立っている。転売屋とはフリマアプリやリセールサイトで高騰しているモデルを転売目的で手に入れる人たちだ。ブームが過熱するにつれて転売屋は、その数を増してきた。

チャプター時代には早い者勝ちだった人気モデルのスニーカーの購入資格は、抽選(くじ引き)で決めるようになり、そこには運も必要になってきた。アトモスでも毎週末、長蛇の列ができ始めた。数千人単位の列ができることも珍しくなく、近隣からのクレームも増えたため、行列に並ぶための事前抽選を行うようにさえなった。

抽選は基本的に一人一回まで。だから転売屋は、ときに「弾数」を増やすために主婦やホームレスまで雇い、彼らが「キャパ」と呼ぶアルバイトの並び屋を行列に仕込むようになった。複数の転売屋が徒党を組んでグループ化し、いつからかスニーカーは、トレジャーハンティングからパワーゲームに変わっていった。

これまで何度も行列を経験したけど、2015年の「エア ジョーダン 1 シカゴ」の発売日は特に記憶に残っている。推定5000人を超える行列が、アトモス原宿店から表参道沿いに伸び、表参道交差点を曲がって青山通り沿いにあったブルックス ブラザーズ青山店の前辺りまで、1㎞以上続いた。正直言って、このレベルになると正確な人数を割り出すのは不可能である。くじ引きを終えた転売屋がまた仲間のいる列に割り込んで、永遠にくじ引きが終わらない。最後尾だけ監視しても意味がなく、全体を監視するには列が長すぎる。

社内でも「並びが多すぎて、抽選に時間がかかりすぎる。なんとか短縮する方法はないのか」と、度々議題に上がっていた。発売日には、店頭の一般販売を一時的にクローズしなければならず、機会損失にもつながる。せっかく地方や海外からアトモスを楽しみに来てくれたお客さんの入店をお断りしなければならなかった。その機会損失をなくすために、ドミナント出店(同じエリアに店を集中させ、競合を圧倒する出店戦略)を行い、原宿にアトモスを数店舗構えていたときもある。

そして何より問題だったのは、これまでスポラボやアトモスで買い物をしてくれていたお客さんの手に届きづらくなってしまったことだ。

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