真っ先に目に飛び込むのはロケットカウルと呼ばれる流麗なフロントデザインだ。丸型ヘッドライトを囲むこのカウルは、滑らかで立体的な曲面を出すためにプラスチック繊維のFRP素材を用いた。大量生産向けで一般的なABS素材による金型成型と違ってFRP素材は手間が掛かるが、見る角度でふくよかな立体感を醸し出すことからファンも多い。車体後部のカウルも車体前部からの曲面を絶やさぬようにFRP素材で造られた。
セパレートタイプのハンドルと低い位置の丸型ミラー、バックステップ気味のステップ、まるでシングルシートのようにコンパクトなシート形状、車体後部へと切れ上がったマフラーなど、往年のカフェレーサーを踏襲したスタイルは独特な存在感を放つ。
早速HAWK 11に跨がる。身長170cm、体重65kgの筆者にはベストマッチなライディングポジションだ。初めて乗ったのにしっくりくるライポジだなと思ったら、ホンダのレーサーレプリカバイク「CBR1000RR」(2008年式)とシート位置とステップ位置の関係が同じで、ハンドル位置のみHAWK 11が数cm高いという。筆者の愛車はCBR1000RR(2010年式)で、ハンドル位置をスペーサーで数cm上げていることから、まさにHAWK 11と同じライポジである。
鼓動を強調する専用設計の吸気システム
もっとも二輪車のライポジは燃料タンクや車体の幅も大きく関係する。さらにライディングでは両足で車体を挟み込むニーグリップも不可欠だ。その意味でHAWK 11は、直列4気筒エンジンを搭載するCBRよりも車体幅がスリム(並列2気筒)だからニーグリップしやすく、タンク形状も絞り込まれているので車体をホールドしやすい(燃料タンク容量14l/シート高820mm)。
エンジンを始動する。大きなシリンダーが2つ上下する力強い鼓動を感じるがアイドリング時の振動は控えめだ。1速にシフトし軽めのクラッチレバーをリリースしながら、試乗コースとなった山中湖周辺を流れに合わせてゆっくりと流す。
40~50km/h程度で3~5速を往復させながら対話する。ヒュルヒュルといった僅かな高周波音を伴うあたりは同エンジンを搭載する「アフリカツイン」や「レブル1100」「NT1100」などと同じだが、HAWK 11では専用設計を施し吸気システムでことさら鼓動を強調する。さらに約6%ロングに変更された2次減速比により6速あるギヤ段すべてにおいてアフリカツインよりも伸びのある加速を披露する。
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