全日空は物資空輸ニーズの高い仙台空港の復旧急ぐ。成田は15日から一部再開見通し【震災関連速報】
全日本空輸(ANA)の拠点で今回の東日本大震災の被害に遭ったのは、仙台空港と成田空港だ。
大津波が直撃した仙台空港では、ちょうどその時間帯にANAの飛行機の発着はなく、機体の被害には遭っていない。ただ、システム端末等が水につかったり、機体を支援する特別車や貨物機材関連の設備などが被害を受けている。滑走路や空港へアクセスする道路などは流木等が散乱した状態だが、国交省は清掃車を送るなどの対応に追われているようだ。
仙台空港の一部は被災者の避難所にもなっているもようだが、ANA関係者は「駐機場など(の問題)がクリアになれば、運行再開も不可能ではない」としており、物資の空輸などで必要性の高い仙台空港の復旧を急ぐ構えだ。
成田空港は、羽田空港と違い、東京電力の計画停電の対象地域だが、自家発電設備を保有しており、完全ではないが停電には対処できるようだ。ANAの設備では、貨物輸入倉庫が被害を受け、生鮮品や工業品などの輸入貨物の受け取りができない状況となっている。ただ、復旧作業が続いており、本日15日からは徐々に一部再開できる見通しだ。
そのほか、ANAでは仙台空港に一番近い福島空港を使って代替輸送の臨時便を出しており、本日は14便(7往復)を投入する。福島と羽田、名古屋(中部国際)、大阪(伊丹)、札幌(千歳)をつなげている。
なお、ANAよりも東北に拠点の多いJALでは、仙台空港と花巻空港が被害を受けたが、比較的被害の浅い花巻は17日の運航再開を目指して復旧作業が進んでいる。JALの臨時便は、青森、札幌(千歳)、山形、秋田から出ており、羽田、大阪(伊丹)とも結んでいる。15日は26便(13往復)。
スカイマークの拠点では唯一、茨城空港が天井の一部が抜けるなどの被害に遭ったが、損傷は軽く、14日から通常どおりの運航を再開している。
今後の空運需要の見通しとしては、マイナス要因が上回りそうだ。東北地域の新幹線が止まっているため、国内輸送の一部では空運へのシフトが考えられるが、需要回復の続く国際線で、原発事故の影響から、観光やビジネス目的での外国人客の訪日が鈍化する可能性が高いからだ。各社の業績への影響も懸念される。
(野村 明弘 =東洋経済オンライン)
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