「深夜ドラマ枠」をテレビ局が増やす納得の事情 コロナ前後でドラマの「量」と「質」はどう変化

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②リメイクのブーム

ヒットしたドラマの続編が作られることは珍しくも何ともありませんが、ここのところかつてのヒットドラマのリメイクがブームになりつつあります。

例を挙げると、1992年に石田ひかり主演でヒットしたドラマを今田美桜主演でリメイクした『悪女(わる)』(日本テレビ系/2022年)、1995年の堂本剛以来、5代目となる金田一一を道枝駿佑が演じた『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系/2022年)は8年ぶりのリメイク、さらには、2007年の舘ひろし&新垣結衣主演作リメイク『パパとムスメの7日間』(TBS系/2022年)、そして、2006年に山下智久が主演したドラマの16年ぶりのリメイク『クロサギ』(TBS系/2022年)など。すべて原作モノですので新解釈とも言えますが、どれもかつてヒットした作品だけに、古くからのドラマファンによる賛否を含めた話題性狙いという面もあるかもしれません。

③SF的設定の増加

また最近の面白い傾向として挙げられるのが、SF的設定ドラマの急増です。

例えば、氷河期が訪れた地球が舞台の『#コールドゲーム』(フジテレビ系/2021年)、ゾンビが行き交う世界が舞台の『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系/2021年)や『生き残った6人によると』(TBS系/2022年)、さらには、戦国武将のクローンが通う近未来の高校が舞台の『新・信長公記』(日本テレビ系/2022年)、人の運命を司る天空の組織が暗躍する『運命警察』(テレビ東京系/2022年)、亡くなった人が“復生者”として現生に戻ってくる『空白を満たしなさい』(NHK総合/2022年)、突然性別が変わってしまう“異性化”した人々をめぐる物語『個人差あります』(フジテレビ系/2022年)などという具合。

これらに加えて、いわゆる“人格入れ替わり・憑依モノ”も再びブームを迎えているようで、『天国と地獄~サイコな2人』(TBS系/2021年)、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系/2021年)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京系/2022年)、『妻、小学生になる。』(TBS系/2022年)や、前述の『パパとムスメの7日間』などなど。

さらにこれまた定番の“タイムスリップもの”も、『知ってるワイフ』(フジテレビ系/2021年)、『僕の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系/2022年)、『JKからやり直すシルバープラン』(テレビ東京系/2021年)などなど。

どうやらテレビ局もコア層を狙って、漫画やゲームなどの定番題材であるSF的展開の実写ドラマを増やしているフシがあるんですよね。

以上の3点に、“飯テロ”と呼ばれるグルメドラマと、LGBTQを題材にしたモノが、今のドラマ界の新潮流。このようにコロナ禍を挟んで、深夜枠を中心とした「量」の増加と、それによる「質」の変化が徐々に進んでいる……それが2022年秋現在のドラマ模様なようです。

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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