「深夜ドラマ枠」をテレビ局が増やす納得の事情 コロナ前後でドラマの「量」と「質」はどう変化
ここで、テレビ業界における時間帯区分について触れると、ゴールデン(19-22時)、プライム(19-23時)というのが、最も総視聴者数が多いとされている時間帯であり、ここで放送される番組の製作費が原則として最も高く設定されています。また、全日(ぜんにち)(6-24時)という区分もあり、この3つの時間帯の視聴率が最も高い局が「視聴率三冠王」と言われています。
民放の論理でいえば、23時以降はゴールデン・プライムから外れ、かつ24時以降となれば全日からも外れるため、スポンサーからの広告料金も安くなり、それに応じて製作費も抑えられるという図式です。
そのため、製作費も高くなりがちな連続ドラマの制作は限定的だったのが、これまでの“常識”でした。事実、20年前の2002年4月クールでの、23時以降スタートの連続ドラマ枠は、わずかに1枠だけでしたから。
それを踏まえて、現在の1週間あたりの連続ドラマ枠を見ていくと……
○23時以降スタート枠 16本
と、ほぼ半々。この2年半で20-22時スタートが3つ減り、23時以降スタートが5つ増えるという、深夜枠強化の傾向が見て取れるのです。
深夜枠強化をする4つの理由
その理由として筆者が掲げたのは、以下4つの説。
① “おうち時間”の増加とTVerの見逃し配信普及
リモートワークが進み、通勤・通学時間分が短縮されたことで、いわゆる“おうち時間”が増加、夜更かしする人が増えた可能性に着目したとも考えられます。また、TVerなどによる見逃し配信が普及したことで、アクセス数が多い連続ドラマ枠を局側が増やしたということも。
② コア視聴率重視
コロナ禍と偶然にも時を同じくして、2020年3月から公式に導入されたのが、個人視聴率調査。従来の、どれだけの世帯数に見られていたかの世帯平均視聴率に対し、どれだけの人数に見られていたかが個人視聴率。個人の年代や性別までもデータ化されるため、視聴者像がより明確になったわけです。
これにより、スポンサー側は、最も広告効果が高いとされる、20~30代の女性(通称・コア層)に刺さる番組に広告費を投入する傾向が高まり、その中で、このコア層と親和性の高いドラマ、中でも深夜枠の増加につながったと考えられます。
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