「深夜ドラマ枠」をテレビ局が増やす納得の事情 コロナ前後でドラマの「量」と「質」はどう変化

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③連続ドラマは再放送やソフト化をしやすい

コロナ禍による制作中断時に放送されたのは、15~20年以上も前に制作された旧作ドラマばかりでした。これはバラエティ番組などでは通用しない方式(多くは5年前のものでも再放送は難しいでしょう)。それだけ“耐久性”のあるコンテンツということを再認識し、コロナ禍や昨今のテレビ離れによる全体的な番組制作費削減を念頭に置いた各テレビ局のエライ人たちは、「どうせ費やすなら、ドラマに」という志向になったと考えられます。また、ドラマはDVDなどソフト化による収益も、バラエティ番組などより高く見込めるということも大きいでしょう。

④ YouTubeの影響

YouTubeなどの動画サイトの1本当たりの尺(時間)は、平均して15~20分といったところ。長い尺のものは再生数が伸びないと指摘されています。こうした尺の動画に慣れているコア層を取り込むためには、ドラマの尺も従来の1時間モノから30分モノへとシフトしたいのですが、編成上、ゴールデン・プライムでは30分枠増設が難しいという事情もあり、深夜枠の主流である30分枠を、バラエティからドラマへと差し替えたと考えられます。

と、上記はあくまでも筆者の説ではありますが、コロナ禍と個人視聴率調査導入という偶然にも同時期に起きた2つの要素が絡み合い、連続ドラマの「量」は大きく変化していったと推測されるのです。

コロナ前と後で変わった、ドラマの「質」

では、「質」のほうはどう変わったのでしょう。以下の3点が挙げられます。

①珍しい“お仕事”探し

連続ドラマの定番の一つが、いわゆる“お仕事ドラマ”。主人公とその仲間たちが就くお仕事を中心に展開されるもの。例えば、刑事・警察官、弁護士、医師・看護師、教師などがこれまでの代表的な“お仕事”なわけですが、さすがにこれらの拡大再生産ばかりはキツいと制作側も感じているのでしょう。「量」の増加もあいまって最近は、珍しい“お仕事”が急増しています。

例えば、『DCU』(TBS系/2022年)の海上保安庁・潜水特殊捜査隊、『イチケイのカラス』(フジテレビ系/2021年)の裁判官など、従来の“お仕事”から視点を少しズラしたもの。

ほかにも『競争の番人』(フジテレビ系/2022年)の公正取引委員会、『テッパチ!』(フジテレビ系/2022年)の陸上自衛官、『ユニコーンに乗って』(TBS系/2022年)のスタートアップ企業、『受付のジョー』(日本テレビ系/2022年)の会社の受付業務、『明日、私は誰かのカノジョ』(TBS系/2022年)や『彼女、お借りします』(テレビ朝日系/2022年)のレンタル彼女、『オールドルーキー』(TBS系/2022年)のスポーツ・エージェントなどなど。

これまで取り上げられてこなかった物珍しい“お仕事”が目立っているんですね。おそらく、この傾向はしばらく続く可能性が高いと筆者は睨んでいます。

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