フクシマの教訓を置き去りに進む原発再稼働の今 マジックワード「バックフィット」の正体
=安全審査合格済みで、すでにいったん再稼働済み
関西電力
美浜原発3号機
大飯原発3、4号機
高浜原発3、4号機
四国電力
伊方原発3号機
九州電力
玄海原発3号機
川内(せんだい)原発1、2号機
=安全審査合格済みだが、再稼働はまだ
関西電力
高浜原発1、2号機
東北電力
女川原発2号機
中国電力
島根原発2号機
東京電力
柏崎刈羽原発6、7号機
日本原子力発電
東海第二原発
フクシマが残した最大の教訓
7月13日、フクシマの被害をめぐって仰天の司法判断が下された。東京電力の個人株主が起こした株主代表訴訟で、東京地裁は約13・3兆円を東電に支払うよう旧経営陣4人に命じる判決を言い渡した。
東電の損害と認定された約13・3兆円の内訳は、被災者への損害賠償(約7・1兆円)、除染・中間貯蔵(約4・6兆円)、廃炉・汚染水対策(約1・6兆円)。もちろん4人が個人的に支払えるはずがない。そうすると、この判決の意義は、過酷事故(シビアアクシデント)による被害の大きさを「13兆円」という金額で改めて可視化したことにあるかもしれない(しかも将来的にこの金額で収まるとはとても考えられない)。
あのような事故を二度と繰り返さないために最も確実な方法は、原発を再稼働しないことだ。各原発のプールには後始末の道筋さえ定かでないまま大量の使用済み核燃料が保管されており、再稼働しなくとも事故のリスクはゼロにはならないが、「進むも地獄、退くも地獄だ」「今さら停めても仕方ない」とばかりに、なしくずし的に再稼働を進めるのは無責任の極みと言うほかない。運転中の原発は事故のリスクが格段に高まるというのが、フクシマが残した最大の教訓のはずだからだ。
だが残念なことに、フクシマが残したこの最大の教訓は、その後の原発行政にまったく生かされていない。この国の為政者たちは、フクシマで機能しなかった安全規制と防災の再興を前面に押し出し、原発再稼働を進める道を選んだのだ。国民の側から見れば、再稼働の道など選んだ覚えはないだろうが。
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