誰にでも効く治療法はなく、入院が必要になる人や、数年にわたって痛みが続いて日常生活に支障が出る人もいる。
痛みが長く続くかもしれないことを考えると、帯状疱疹はできるだけかかりたくない。予防のための最も効果的な方法が、ワクチンの接種だ。50歳以上を対象に2016年から「水痘ワクチン」が、2020年から「サブユニット(不活化)ワクチン」が接種可能になった。
「水痘ワクチン」とはウイルスの毒性を弱めた「乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)」のことで、幼児が定期接種しているものとまったく同じワクチンだ。一方、「サブユニットワクチン」はウイルスの表面タンパクの一部に、免疫を増強させる薬剤(アジュバント)を添加したワクチンだ。
2つのワクチンの違い
2種類のワクチンはどう違い、どう選べばいいのか。
「2つのワクチンは効果と安全性において、違いがあります」と浅田医師。具体的には次のように説明する(下記図表は、外部配信先ではすべて閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でご確認ください)。
「まず効果についてですが、水痘ワクチンは帯状疱疹の発症を50%程度減少させるのに対して、サブユニットワクチンは97%減少させることがわかっています。帯状疱疹後神経痛の予防についてもサブユニットワクチンのほうが効果的です」
一方でサブユニットワクチンは副反応が出やすく、約8割の人で接種した部位に腫れや痛みなどが現れ、約6割の人で発熱や頭痛などの全身症状が出る。水痘ワクチンは接種部位に痛みが出ることはあるが、全身症状が出るのはまれだ。30年以上前から幼児に接種されてきた水痘ワクチンとまったく同じものなので、安全性も保証されている。
また、費用面の違いも大きい。自治体によっては助成があるが、一般的に水痘ワクチンは1回で済み、8000円程度。サブユニットワクチンは2回接種する必要があり、合計で約40000円になる。(助成については、自分が住んでいる自治体に問い合わせを)
「リウマチや膠原病(全身性エリテマトーデスなどの病気)などで免疫を抑える治療を受けている人や、抗がん剤を使用している人は、弱毒化ウイルスによる感染のリスクがあるため、水痘ワクチンは接種できません。しかし、こうした免疫が弱っている人は帯状疱疹にかかりやすいので、サブユニットワクチンの接種をおすすめします」(浅田医師)
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