景気によって「若者の恋愛観変わる?」意外な事実 恋愛が活発化しても少子化は"解決しない"

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なぜなら、職場において「ヤリ逃げ」をしてしまうと、男性にとってもその後の職場内に悪い噂が立つことにもなり、最悪出世にも影響するからです。このように職場では上位の恋愛強者ほど早々に年貢を納める(かつては、結婚することの比喩として使われました)ことになり、そのおかげで中間層男性の出番が回ってくる好循環が生まれたわけです。

しかし、それも今は昔。現代の職場恋愛は、一歩間違えばセクハラ扱いされるリスクが男性にはあり、職場結婚はむしろ避けられる方向に進んでいます。そのため、恋愛強者たちはもっと手軽なマッチングサービスに流れていきました。それこそ強者男性にすれば、「出会えるうえに、あとくされのない」便利なツールであることは間違いないわけで、結果、結婚を決断することなく、ズルズルと自由に独身生活を謳歌することになるわけです。

「若者の恋愛活性化で、婚姻数が増える」は机上の空論

2016年以降、「恋人がいる率」が増えたといったところで、結局、それは恋愛市場にいつまでも強者男性が居座り続けているだけにすぎず、むしろ、それらによって、本来強者たちが既婚者になれば、恋愛から結婚へと発展することができた7割の未婚男性たちの機会を奪っていることにもなります。これでは余計に婚姻数は増えません。

恋愛も結婚も本人たちの意志や努力によってだけ進むものではありません。社会の中におけるそれぞれの位置づけという「見えざる関係性」によって左右されます。そこには経済環境も当然含まれますが、それだけではないでしょう。

少なくとも「若者の恋愛を活性化すれば、婚姻数が増えるはず」などという提言は所詮机上の空論でしかなく、人間が相対的な関係性の中で生きているという視点で考えれば「さらなる非婚化」が進むかもしれません。

つい先日9月9日に、最新の2021年の出生動向基本調査概況が発表されました。発表データの中から、20代の「恋人のいる割合」を抽出計算すると男性24%、女性32%であり、これはほぼ2015年の数値と変わりませんでした。2016年以降若者の恋愛率が高まったという期待もはかなく幻となり、恋愛強者3割の法則は2021年も健在のようです。

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荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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