大紛糾の「都立高校入試」乱暴すぎる改革の中身 「有利な人」「不利な人」を生む驚きのカラクリ
もっとも懸念されるのは、この前受けテストを受けない「不受験者」の扱いです。
実は、「ESAT-J」は受験者全員に必須とされているわけではありません。事実上必須とされているのは都内の公立中に通う生徒のみで、それ以外の生徒は不受験でも構いません。
つまり、同じ受験生の中でスピーキングテストを受けなければならない生徒(都内公立中の生徒)と、受けるか受けないか選べる生徒(それ以外の生徒)に分かれます。都内公立中の生徒に、原則として選択権はありません。
特殊すぎる「不受験者」の点のつけ方
問題は、その場合の「不受験者」の点のつけ方です。
もし受けない場合、不受験者の点数は、「他の受験生の点数から算出される」ことが決まっています。
具体的には、2月に行われる本番の学力検査の「英語の筆記、リスニングテストの合計点」が「同じ得点」、あるいは「前後の得点」をとった「他の受験生のESAT-J(スピーキングテスト)の点数」を複数用いて、その平均点によって決められるのです。
つまり合否に関わる自分の点数が、自分と同じ得点、あるいは「前後の得点」をとった「他の受験生のスピーキングテストの点数」によって決まるという、極めて特殊な点のつけ方なのです。
もし、お子さんが何らかの理由で11月の前受けテストを受験しない場合を考えてみてください。2月の本番で、算出のもとになる他の受験生のESAT-Jの点数がよければ、ラッキー。あなたのお子さんは、不受験にもかかわらず高得点がもらえます。
しかし、逆もあります。算出もとになる他の受験生のESAT-Jの点数が、たまたま悪かったら? あなたのお子さんの点数も、同じように低くなってしまうのです。
高得点をとっても、算出のもとになる受験生たちが「たまたまスピーキングが苦手」であれば、点数は低くなります。一方、当日の得点が低くても、算出もとになる受験生たちが「たまたまスピーキングが得意」であれば、点数は高くなります。
つまり「運次第」ということです。
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