大紛糾の「都立高校入試」乱暴すぎる改革の中身 「有利な人」「不利な人」を生む驚きのカラクリ
2022年9月現在で、中学校でGTECを行っているのは、練馬区、目黒区、渋谷区、品川区、足立区、台東区、多摩市、町田市、福生市の9つの地域。これ以外の40の市区町村では、GTECは行ってはいません。
タブレットに向かって話しかける形のESAT-Jのようなテストは、その形式に慣れることが大切です。同程度の英語の実力であっても、テストの問題形式に慣れているかどうかで、点数には大きな差がつきます。
都内の中学生全員が、GTECで練習できているならまだわかります。しかし練習できる9の自治体と、していない40の自治体がある。これは不公平です。
都立高校は、市区町村を越えた生徒が受験をします。公平性が最も求められる入試において、塾で対策ができるできないという経済格差に加えて、地域格差までが成績に反映される可能性が含まれているのです。
しかし、ここまで述べたことは、保護者や受験生にきちんと説明されたことはありません。中学校の先生や合否判断をする都立高校の先生も、詳しいことは知らされていないのです。そのため、渦中の受験生や保護者は、何がどうなるかわからない不安の中に放置されています。
仮にも公のテストに新しい方法を持ち込むのであれば、説明責任を果たすことは行政として当然のことではないでしょうか。
全国に及ぶ可能性も?
ここまで読んでこられて、「東京は大変、うちは関係なくてよかった」と思われた方もいるかと思います。しかし今回、このESAT-Jが行われ、それが都立入試に反映されるようなことになれば、都立高校入試だけでなく、その影響は全国の公立高校入試に及ぶ可能性は大いにあります。
入試の合否が「運」で決まる、受験者に皺寄せがいく、英語のスピーキング以外を頑張っている子が不利になる、経済格差や地域格差がある――。
今、頑張っている受験生はもちろん、未来の受験生のためにも、今回の「改革の中身」を、もっと広く議論するときが来ているのではないでしょうか。
(構成:黒坂真由子)
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