ここで、「主成分分析」の狙いを簡単に説明したい。「主成分分析」の主な目的は、複数ある変数から新たな総合指標を作り出すことにある。分散や相関から得られる。この総合指標を「主成分」と呼ぶ。
例えば、小学校のクラスで国語と算数のテストを行ったときに、両科目の得点から各生徒の「総合的な理解度」を抽出するようなときに用いられる。両科目の得点を眺めているだけでは、国語は得意だが、算数が苦手な生徒、両科目が平均的に得意な生徒などさまざまで、比較できないが、総合指標である「主成分」の値を見れば、両科目の得点を考慮した「総合的な理解度」について各生徒の比較ができるようになる。
この主成分は、単純な2科目の合計値や平均値よりも統計的にもっともらしい指標である。ただし、「主成分」はあくまでも統計的にもっともらしいというだけで、定性的な説明は分析者が後から考えなくてはならない。つまり、抽出された「主成分」を見ながら、各生徒の「総合的な理解度」はどのように形成されてきたのかを考察するというプロセスが重要になる。
最近の消費者物価を変動させている4つの要因
今回は、523品目から成るCPIコアのデータに対して、主成分分析することでファクターを抽出した。それぞれの品目が、「国語」や「算数」に当たる。523品目が全体としてどのように動いているのかについて、「主成分」を抽出するのである。
抽出された主成分をみると、第1主成分は「輸入物価(円建て)要因」、第2主成分は「為替要因」といえそうな動きだった。第1主成分と輸入物価(円建て)の相関係数は0.95と高い連動性が確認できた。やはり、CPIコアは全体として輸入物価や為替変動の影響を受けているようだ。
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