2022年度下期からの日本経済を予測すると、世界的にリセッションが懸念される中、海外経済の回復を待つ「守り」の時間帯が続くことが予想される。サービス消費やインバウンド消費の回復、設備投資の底堅さにより、それほど「悪くない」展開となるだろう。
(本記事はグラフと併せてご覧ください。外部配信先ではグラフを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でご確認ください)
日本経済の主な需要項目の想定は以下である。
①個人消費は、サービス消費では緩やかな回復が期待できるが、実質可処分所得の減少で財消費は伸び悩む
②外需は、世界経済減速で財(モノ)輸出にはブレーキがかかることが予想される一方、インバウンド解禁でサービス輸出は回復する
③設備投資は、財輸出の伸び悩みによる設備稼働率の低下がマイナス要因だが、製造業中心にペントアップ・デマンド(繰り越し需要)は強い。
実質GDP(国内総生産)成長率は2022年度が前年度比プラス1.8%、2023年度が同プラス1.4%と予想している。回復は緩やかと言えるが、潜在成長率(0.5~1.0%程度)は上回る可能性が高い。
個人消費:GWの消費は「最後の宴」に
筆者は、新型コロナウイルスの感染第6波が収束した直後のゴールデンウィーク(GW)消費は盛り上がる一方、インフレ高進による実質可処分所得の減少や消費マインド悪化によってその後の個人消費は伸び悩むと予想してきた(『ゴールデンウィークが「最後の宴」となったわけ』)。
感染第7波の影響もあったのだが、実際に、お盆や9月のシルバーウィークの時期でもGWの人出を上回ることはなかった。「旅行」や「遊園地」の消費者数はGW前後の時期にコロナ前(2016~2018年平均)の水準を上回った後、再び低迷している。「GWが最後の宴になる」という筆者のシナリオは実現しつつある。
むろん、感染第7波が収束する中、旅行やレジャー関連の消費には一定の期待ができる。だが、実質可処分所得が減少し続けており、消費は「メリハリ」を重視したものとなるだろう。値上がりした食費を抑制するのには限界があるため、結果的に選択的支出である旅行やレジャーにも節約の波が押し寄せる可能性が高い。
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