地元の「がごめ昆布」をコスメにした起業家の挑戦 ラグジュアリービジネスに参入した若手を紹介

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製品のみならず、地球レベルで包摂性のある公正なビジネスを考える企業のあり方そのものが支持されています。副社長の山崎大祐さんの情熱あふれるコミュニケーションにより形成される購買者のコミュニティや、山崎さんの経営ゼミを通じた知的なネットワークも広がっています。つくり手・経営者・購買者のすべての文脈を含めて、新しいラグジュアリーの模範例ともなっています。

1991年生まれの深井喜翔さんは、その山崎さんに憧れ、2020年にヴィーガンダウンの「KAPOK KNOT(カポック ノット)」を立ち上げました。深井さんはそれに先立つ2018年からクラウドファンディングで資金を集め、新規事業を開始しています。

本質的に魅力のある製品をつくる

KAPOK KNOTは東南アジアに自生するカポックという植物の実から生まれた「サードウェーブのダウン」(羽毛でも石油由来でもないダウン)を扱います。ダウンなのに極薄で、軽いのに暖かく、イタリアのファッションブランド「コスチューム・ナショナル」でもデザインを手掛けていたデザイナーによるコートは性別・年齢を問いません。

同社では、高機能とデザインでまず魅了し、アニマルフリーで森林環境を守るというストーリーをその後に伝えるというやり方をしています。「正義の押し付け」がなく、サステナブルな世界にすんなり入ることができます。

深井さんは老舗アパレル企業の4代目です。業界の慣習があまりにも変わらないことに業を煮やして、アパレル産業の構造を根本的に変え、日本から世界に通じるブランドをつくるべく、家業と独立した形で小さく事業を立ち上げました。

購買者のコミュニティづくりに力を入れたり、サステナブル建築の専門家とも協業したりしながら文化的発信も怠らないコンテクストも含めて、国際的な視点から見れば「新しいラグジュアリー」の萌芽そのものです。しかし、そのように指摘すると、本人は「自分の仕事がまさかラグジュアリーに含まれるとは」と、きょとんとします。昔ながらの高級品市場のみをラグジュアリーと捉えていると、そのような反応になるのも当然です。

自然派化粧品のSHIROも、日本発ラグジュアリーの萌芽を感じさせます。

この会社の前身は北海道の土産物店からOEM(メーカーが他社ブランドの製品製造を受託すること)のメーカーへと変化を遂げています。現会長の今井浩恵さんが26歳のときに会社を買い取り、社長に就任。雑貨小売販売会社のOEMを手掛けてそれなりに繁盛していました。

しかし、粗利益率の不当に高すぎる製品をつくるOEMを続けていることが苦しくなり、大手の社員と仕事をする自分までいやになって、「自分たちが毎日使うもの」をつくりたいというシンプルな想いから2009年に独立、SHIROを立ち上げます。

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