エクストレイル「北米の2年遅れ」で発売のワケ ラインナップ/e-POWER/価格帯、理由は3つ

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そして、価格帯に見合う内容として、ハイブリッドのe-POWERが選ばれた。仮に、ガソリン車のエクストレイルが発売されれば、e-POWER専用モデルであるキックスよりも安価となる可能性もあり、車格と価格の“ねじれ”が生じてしまう。価格帯のうえからも、エクストレイルがe-POWER専用となった理由が考えられる。

e-POWERを搭載するコンパクトSUVの「キックス」
e-POWERを搭載するコンパクトSUVの「キックス」(写真:日産自動車)

そして、最後の理由が「国内ミッドサイズSUV市場の“売れ筋”の高騰」だ。実のところ、過去10年ほどで、ミッド~ラージサイズのSUVは売れ筋価格帯が大きく上昇している。

300万円未満のミッド~ラージSUV、わずか3%

2010年当時、ミッド~ラージサイズSUVの国内販売では、「300万円未満」が約60%を占めていた。エクストレイルも、当時はクリーンディーゼル車を除きほぼすべてのグレードが200万円台であった。ところが10年をかけて、その割合はどんどんと低下し、わずか3%ほどまでに低下している。

今、このクラスのSUVの価格は、新型エクストレイルの価格帯でもある「350万~500万円未満」が市場の50%強にまで増えている。これも、新型エクストレイルに高価なハイブリッドシステムであるe-POWERが選ばれた理由になるだろう。

インテリアなどの仕立ても価格に見合う上質なものになった
インテリアなどの仕立ても価格に見合う上質なものになった(筆者撮影)

これらの理由から、日本向けの新型エクストレイルは、e-POWER専用モデルとなり、開発期間の必要性から投入が2年遅れてしまった、といえるのだ。

ただし、長く待たせたこともあってか、新型エクストレイルの初期受注は好調だ。7月25日の発売開始から、わずか2週間で受注は1万2000台を突破。8月末の時点では、1万7000台をも超えているという。受注1万台突破までの期間は、歴代エクストレイルだけでなく他のe-POWER搭載車の中でも最速だそうだ。

個人的には、新型エクストレイルがロングライフモデルとなることで、より低価格帯のモデルとしてVCターボを搭載したエンジン車の登場を期待したい。世界でも類を見ない「可変圧縮ターボのエンジン車」の走りを味わってみたいからだ。

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鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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