日産「エクストレイル」がデビューしたのは2000年。筆者は当時のことを今もよく覚えている。
ライバルとして想定されていたのは、少し前にデビューしていたトヨタ「RAV4」とホンダ「CR-V」だった。この2台は、ともに横置きエンジン前輪駆動(FF)のセダンのプラットフォームを活用していたことが特徴だった。
当時の日本では、まだSUVというジャンルは確立されておらず、トヨタ「ランドクルーザー」に代表されるクロスカントリー4WDに対して、「ライトクロカン」と呼ばれていた。
さらに日産は、前年に経営危機からフランスのルノーとアライアンスを結ぶことを決定しており、エクストレイルは新体制下で生まれた初の量産乗用車でもあった。
真冬の北海道で行われた事前取材会では、まず「4人が快適で楽しい200万円の使える4駆」というコンセプトを聞かされた。いい意味で日産らしからぬ、ユーザーに寄り添った考え方に感心した。
それでいて「技術の日産」は健在だった。「オールモード4x4」と名付けた電子制御4WDシステムによって、本格的なクロスカントリー4WDに匹敵する悪路走破性を獲得したとアピール。雪のテストコースでその実力を確認した。
デザインも乗用車らしさを強調したRAV4やCR-Vに対して、たくましさをアピールしており、インテリアには撥水加工を施したシート、外して洗えるラゲッジボードなどを採用。「タフギア」のキャッピコピーが納得できる作りだった。
こうした作りがユーザーに受けて、エクストレイルはデビュー翌年からなんと10年間、国内SUV登録台数でナンバーワンの座に君臨したのだった。
“あのころ”がもどってきた
2022年7月20日に発表された通算4代目となる新型エクストレイルを見て、“あのころのエクストレイルが帰ってきた”と思ったのは、筆者だけではないはずだ。
2007年発表の2代目エクストレイルも「タフギア」を受け継いだものの、2013年発表の3代目、つまり先代は「アーバンSUV」にコンセプトを変えた。それが新型は「タフ×上質」となった。
デザインをまとめた日産自動車 グローバルデザイン本部 第二プロダクトデザイン部 プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎氏も、「シルエットはスクエアに戻した」と言っていたから、初代や2代目を意識したことは間違いない。
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