エクストレイル「NO.1返り咲き」が期待できる訳 「タフ×上質」で勝負する4代目の確かなデキ

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メーターとセンターディスプレイは、Sグレードを除いてどちらも12.3インチという大画面のTFTパネルとなる。前者は「ノートオーラ」にも搭載されているが、もともとは新型エクストレイルのために開発したものとのこと。

エクストレイルは、北米市場で「ローグ」の名で展開されているが、こちらは2020年に先行してモデルチェンジしている。日米の「時差」がこの結果になったようだ。

インテリアを見回して気づいたのは、セレクターレバーやドライブモード切り替えダイヤル、パワーウインドースイッチなど、多くの操作系にマットクロームの縁取りが施されていること。

高級車のようなデザインのスイッチ類(写真:三木宏章)

これだけで格段に上質に見える。それでいてエアコンの温度調節やオーディオのボリュームなどをダイヤルとして残しているのは、良心的だと思った。

センターコンソールは、電気式セレクターレバーの採用により、下にも収納スペースを持つ「ブリッジコンソール」を可能とした。後方のコンソールボックスは、リッドが左右に開くバタフライタイプだ。

リアシートは前後スライドが20mm増えて、260mmになった。おかげで身長170cmの筆者なら後席で足が組める。先代に続いて3列シート7人乗りも設定された。

日本初のVCターボ+e-POWER

ここまでデザインを中心につづってきたが、新型エクストレイルはメカニズムも注目だ。全車が「e-POWER」になり、4WDはプロペラシャフトのない2モーター式に。走行状況に応じて4輪の駆動力を電子制御する「e-4ORCE(イーフォース)」も採用された。

しかも、発電をつかさどるエンジンは、日本市場で初投入となる可変圧縮比機構(VCR)採用の1.5リッター直列3気筒ターボ(VCターボ)なのである。

テストコースで試すと、多くのハイブリッド車とは違いエンジン回転と車速がシンクロしており、自然な感触だった。急加速では圧縮比を下げて力を出し、巡航時は逆に圧縮比を上げて燃焼効率を高めるという制御が、e-POWERに合っていた。

まるでガソリン車のようにエンジン回転と車速の上昇が自然だった(写真:三木宏章)

e-4ORCEは加減速のギクシャク感を解消する制御も行うので、走りはとにかく滑らか。ドライブモードはオート、スポーツ、エコのほかスノーやオフロードもあるので、氷雪路や悪路の走破性も期待できそうだ。

価格は「2WD S」が319万8800円、「4WD S」は347万9300円で、3列シートは393万300円から。プラットフォームを共有する三菱「アウトランダーPHEV」はもちろん、RAV4やCR-Vのハイブリッド車より安い。しかも、RAV4は5人乗りしかなく、CR-Vはガソリン車でしか7人乗りが選べない。

これは初代のようなベストセラーSUVに返り咲くのではないか。そう思わせるほど、デザインもメカニズムも力の入った1台だった。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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