エクストレイル「北米の2年遅れ」で発売のワケ ラインナップ/e-POWER/価格帯、理由は3つ

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ところが、その大黒柱となるエクストレイルの新型は、日本投入が遅かった。エクストレイルの北米仕様となる「ローグ」のフルモデルチェンジは、2020年10月のこと。つまり、北米よりも2年も遅れたのだ。

ちなみに、北米仕様のローグはハイブリッドのe-POWERではなくエンジン車だ。最新の2023年モデルは、1.5リッターVCターボをそのまま使って、2万7360ドル(約393万円)からの価格設定。円安の現状であっても、エントリー価格は日本よりも安い。

北米仕様となる「ローグ」
北米仕様となる「ローグ」(写真:日産自動車)

本題に戻ろう。なぜ、新型エクストレイルの日本導入は、北米より2年も遅れたのだろうか。

最大の理由はe-POWERにある。端的に言えば、e-POWER仕様の開発に時間がかかったからだ。エクストレイルのe-POWERモデルは、ヨーロッパでの展開も予想されているが、日本が初出しとなる。

では、なぜ日本にはハイブリッドのe-POWERのみで投入されたのだろうか。それには3つの理由が推測できる。

ラインナップ、e-POWER、価格帯

1つ目の理由は、日本における日産の戦略が“電動化”だから。ベストセラーモデルであるノートでさえ、2020年のフルモデルチェンジでガソリン車を廃してe-POWERだけとなった。エクストレイルも、同様の方針というわけだ。

e-POWERとなる新型「エクストレイル」のエンジンルーム」(筆者撮影)

2つ目の理由は「日産の国内ラインナップの都合」である。日産のSUVラインナップは、下に小さいキックスがあり、その上にエクストレイル、そしてアリアがある。アリアはBEVのためそれほど多くは売れないし、価格も539万円からと高額だ。

ちなみに北米市場では、下から順にキックス、「ローグスポーツ(欧州名:キャシュカイ)」、ローグ(日本名:エクストレイル)、「ムラーノ」「パスファインダー」「アルマダ」、アリアをラインナップ。なんと、SUVだけで7モデルもあるのだ。

一方、日本市場では、わずか3モデルしかない。価格帯でいえば、キックスが約280万~330万円で、アリアは539万円~。エクストレイルは、この間をカバーする役目を担っており、実際に新型エクストレイルの価格は319万8800円~449万9900円、オーテック仕様が420万5300円~504万6800円と、見事にキックスとアリアの間を埋める。

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