そんななかで不正出血があり、切迫流産をしかけて入院することになった。2週間の入院を経て退院してきたときに、もう1人の女友達から、彼が浮気をしているようだと聞かされた。その相手があきだった。
「頭が真っ白になりました。それで、もう結婚は取りやめて、子どもは1人で産んで1人で育てていこうと決めました」
両親にそれを告げると最初は驚いたものの、DVを受けていた事情を話すと納得をしてくれた。そして、一人暮らしの家を引き払い、実家に戻り、両親の協力のもと、これまで子育てをしてきた。
ただ男性からDVを受けたことは、心に大きな傷となって残った。
「実家から会社まで通勤する途中に、一人暮らしをしていた駅を通るんですが、そこに電車が停まると、胸が苦しくなって体が震え出すんです。過呼吸みたいな症状になって、電車を降りたこともありました。そこで、時間はかかっても、別の路線を使って会社に通勤するようになりました」
そんな経緯もあり、次の結婚を考えるには時間もかかった。
「子どもが生まれてから1、2年は、両親の手助けはあったものの、子育てに追われていました。心の回復にも取り組もうと、心理カウンセリングを受けました。最近やっと次の幸せを考えられるようになったんです。子どもが大きくなってしまったら、再婚は余計に難しくなる。今なら、子どももすんなりと新しいお父さんに馴染めるかなとも思っています」
そして、婚活を始めたときに念頭においたのが、些細なことでキレない人。怒ったときに暴力を振るわない人だった。
「ひさおさんはすごく穏やかな性格の人で、今まで声を荒らげたことが一度もない。ただ、付き合って数カ月じゃわからないので、もし成婚退会になったら、入籍せずに半年くらいは一緒に暮らしたいです。そうじゃないと、本性ってわからないですから」
今でも、街や駅のホームで大声を出す人や、つかみ合いのけんかをしている人たちを見ると、ドキッとして息苦しくなるという。
ただそんな過去も現在もすべてひさおに話した。彼はそれを受け入れて「結婚しよう」と言ってくれているので、そこには安心感があった。
結婚話に相手の反応が鈍く…
ふみか(32歳、仮名)は、としや(32歳、仮名)と真剣交際に入って2カ月が経った。ふみかはお見合いをしたときから、としやのことをとても気に入っていた。
「スポーツマンで、清潔感があって、今までお見合いしてきた男性のなかでは一番素敵でした。交際希望です。あちらも交際希望だといいな〜」
お見合いを終えたときに、弾んだ声で交際希望を出してきた。期待通り交際になり、トントン拍子で真剣交際にまで進んだ。
ところが、真剣交際に入って、住むところやお金のこと、仕事のことなど、結婚後の話を具体的に擦り合わせていくと、としやの反応が、だんだんと鈍くなっていった。
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