なぜ離婚となったのか。元妻はある企業で働いていたのだが、結婚した途端、「職場の人間関係が自分には合わない」と仕事を辞めてしまった。辞めることはゆきおに何の相談もなく、事後報告だった。しかも、そこから次の仕事を探そうとはせず、家に引きこもる日々が続いた。
さらに独身時代、給料では生活がまかなえず、消費者金融から金を借りていた。それを伝えすに婚約すると、高価なブランドの婚約指輪をねだってきた。ほれた弱みで指輪を買い、結婚してみると、仕事をやめ、借金も発覚。仕事を辞めてからは部屋に引きこもったまま、家事もしない。
結局、けんかが絶えなくなり、結婚生活は半年で終焉した。
ゆきおは、できることなら子どもを授かる結婚を望んでいた。年齢的なことを考えたら、一刻も早く次の結婚をしたほうがいい。感傷に浸っている暇などない。そうして、離婚後すぐに始めた婚活だった。
条件が良く、お見合いはできたが
年収も高く、条件のいい男性だったので、お見合いを申し込めば、成立することも多かった。しかし、お付き合いに入ってみると、なかなかうまくいかない。デートを2度、3度と重ねていくと、交際終了になっていた。
「お見合いして、女性とお付き合いに入っても、お金の使い方や、仕事への姿勢をついついチェックしてしまう自分がいて、スムーズに相手に入っていけないんです」
そのせいなのか、付き合いが深くなっていくと、女性サイドから交際終了がくることが多かった。私は、ゆきおに言った。
「まだ結婚も決まっていないうちから、具体的なお金の話をされたり、結婚後の仕事をどうするのかを細かく聞かれたら、女性は嫌になってしまうんじゃない? 女性はいくつになっても、恋愛や結婚に対しては夢見がちなところがあると思うんですよ。もう少しお姫様扱いというか、夢を持たせてあげる会話をしたほうがいいのでは?」
この言葉に対して、ゆきおが口にしたのが、「トラウマに…」の発言につながった。
自分では、過去はつらい経験を克服して新たな婚活に取り組んだつもりだった。しかし、実際に活動をしてみると、それを完全に乗り越えていないことがわかった。
しかし、そんなゆきおに真剣交際に入る女性、しおり(39歳、仮名)が現れた。
「彼女と一緒にいると、すごく自然体でいられるんです。会話をしていても、波長が合う。長時間一緒にいたときに、会話をしない時間があったとしても、無理に話題を探そうと焦ったりもしない。無言でいることも苦痛じゃないんですね」
そして、ゆきおは、しおりに自分の過去のトラウマを話す決心をした。「話したら、すごく気持ちが軽くなりました。彼女は、『2人で、これからの人生を一緒にやっていけたらいいね』と言ってくれました」。
生きていれば、つらい経験の1つや2つは誰もが持っている。愛した人に振られたり、傷つけられたりすることもあるだろう。ただ、そこでその悲しみを自分1人で抱え込んでしまい、前に進むことを諦めてしまったら、次の幸せは訪れない。
つらかった過去を話し、それを相手が受け入れてくれたら、トラウマを乗り越えられるきっかけがつかめる。そして、そんな相手と結婚できたら、それが幸せな未来につながるのではないだろうか。
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