東大で「女子を品定めする文化」が今もはびこる訳 「男子校カルチャー」が社会にしみ出す不安

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女性が極端に少ないという環境の中、女性への意識が行き届かない場面も実際にある

私自身、約20年前に東大に入学して、がっかりしたことがある。

大教室での授業中のこと。後方の席に座る男子学生たちが「昨日のサークルの新歓にどんな女の子がいたか」について熱心に話しているのが聞こえてきた。

そうした場面は在学中、何度も目にした。楽しそうに女性たちを値踏みし、それをまた聞いている女子学生がいることに思いが至らない。まるで勝ち組のゴールにたどり着いたかのような、ゆるみきった雰囲気をたびたび感じた。

東大でなくても多かれ少なかれ日本の大学に見られる光景かもしれないが、とりわけ60人のクラス中女性が数人という環境では居心地の悪い想いをする女子学生は多いだろう。

東大の学生が語る、男尊女卑的なものとは

人数的にも学内のマジョリティである男性たちの女性への態度に男尊女卑的なものが混じることと、その理由については、前回記事でも考察した報告書を再び見てみたい。

女性:特に前期教養学部時代(著者注※1~2年生)、男子学生が大っぴらに女子学生の容姿や性的な事柄について品定めするような発言をしても当然に許されるような雰囲気があることに驚き、過ごしづらいと感じた。女子学生が圧倒的に少数であることがこのような雰囲気の醸成に寄与していると考える。

女性:学内を歩いていると、性風俗を話題に話しているのを耳にすることがあります(知らないただのすれ違う人たちの話)。正直、まったく知らない人なのに学校でそういう話が耳に入ってくるだけで不快です。

このような行為が容認されること自体、東京大学が8割男性ということに起因するのではないかと思います。女性が少数派なので、男性が周りの女性を気にせずそういう話を堂々とできるのではないかと。これについて全学レベルでの教育が必要だと思います。

男性:学部入学時の所謂「オリ合宿」(著者注※2年生が企画して1年生をオリエンテーション目的で連れて行く合宿)をはじめ、学生同士の飲み会などの場で男子学生のみの場になった際、女子学生をその容姿などから順位付けする場面にたびたび遭遇した。

会話そのものが卑劣で許されるものではなく、その場にいるだけで非常にいたたまれない気持ちになったが、さらに他の男子学生から回答を強要されることも多々あった。加害者側に回ってしまう罪悪感がありながらも、回答しなかったりそうした会話への反対を表明すれば、その場の雰囲気を壊してしまうのではないかという不安な気持ちを強く感じた。

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