日本人が知らない「夫婦の年齢差」意外すぎる実態 30歳男性が20代女性と結婚は「当たり前」ではない

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さらに付け加えると、初婚同士で結婚した男性のうち、32歳まで男性の結婚が7割以上を占めてしまいます。つまり33歳以上になると、婚活はかなり難しくなってきます。

その原因の1つが、今回ご説明した年齢差に対する無理解、ということも意識していただきたいところです。マッチングしやすい自分と年齢の近い女性にアタックしないから結婚が叶わない、というケースは男性の年齢が上がるほどに発生しやすくなっています。

アンコンシャスバイアスの問題点

「何歳の異性を好きになろうが勝手」という声も聞こえてきそうです。確かに個人の好みは自由であり、多様性の時代にかなり年下の相手を好むことを、「推し活」として考えることも自由です。しかし、結婚はアイドルなどへの推し活ではありません。相手の気持ちとのインタラクティブな関係性が最も重要で、成婚を叶えるためにはこの関係性の構築が必要不可欠です。

ある自治体センターの婚活イベントで、毎回同じ50代の男性が参加して20代女性にアプローチするため、20代女性が「ありえないです」と、その後イベントに参加してくれなくなった、という話を聞きました。50代男性が20代女性に好意を持つことは自由ですが、相手の気持ちも考えずに押し付けを繰り返すことは、さすがに結果的に「イベント荒らし」行為にすぎません。

このような例だけではなく、夫婦の年齢差については、拙著の読者の皆様であっても(夫婦の年齢差データを解説しています)何度も間違えてしまわれる方がいるように、アンコンシャスバイアスは「アンコンシャス(無意識)なだけに」強固であり、よほど自身で気を付けないと取り除くことが難しいものなのです。

結婚支援現場では「断られるはずがない」「自分にとっては快適だ」「私たち世代にとっては普通」「僕の周りでは多い」など、婚活している人も支援者も無意識に相手の気持ちを置き去りにして、自信をもって行動するケースが少なくありません。だからこそ、データに基づいた実態をしっかり受け止めたうえで、相手の気持ちに寄り添えているか考えつつ、婚活や結婚支援を行っていただきたいものです。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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