なぜ赤字になるのか? を調べる
大塚家具とライフネット生命保険の数値をパッと見た時、両社ともずっと赤字の会社であるように見えます。ですが、単に決算数値を見るだけではなく、ビジネスモデルを把握していないと、赤字の質について理解することはできません。
まず、ライフネット生命保険の収益モデルはどうなっているでしょうか。保険の会社ですから、たとえば、とあるお客様の加入1年目にいきなり売上が全額入るわけではありません。
保険収入は中長期にわたって発生する収益モデルです。お客さんを獲得するためにかかったコストは加入1年目に発生しますが、その収益は長期間にわたって発生するという特徴があります。したがって、初年度に多額の費用が発生しやすいビジネスであるというのが、ライフネット生命保険の特徴です。
この収益構造ですが、実は既存の損益計算書では判断することができないようになっています。たとえば収益の計算をしてみると、顧客1人が生涯にわたって生み出す収益(LTV=Life Time Value)が71万円あるのに対して、売上原価や顧客獲得費用を比較して計算してみると、顧客1人から十分な利益が発生していることが読み取れます。
ただし損益計算書上では、どうしても年間の売上しか計上されない一方で、顧客獲得コストは初年度に多額に計上されるため、1年間だと損失として表示されてしまうという、会計の限界が存在します。
長期的な視点での収益構造を見てみなければ、「通算ではきちんと1人の顧客から利益が出ている」ということがわからないのです。
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