ライフネット生命保険が「赤字でも大丈夫」な理由 赤字にも「質の良い赤字」と「悪い赤字」がある

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ちなみに、ライフネット生命保険は有価証券報告書や決算説明資料において、自社のビジネス上の留意すべき事項を公開しています。 

まず有価証券報告書の【事業等のリスク】では、長期間にわたっての保険料収受が発生する一方で、契約前後の短期間に広告や契約の手数料などが費用として計上され、会計上では損失として表示されることが明記されています。 

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

また、このビジネスモデルについては、決算説明資料でも「顧客1人あたりが、生涯生み出す収益」についての開示をしています。顧客1人あたり年間4.3万円しか売上を生み出さないのに、その顧客の獲得コストに6.7万円かけているのはなぜかというと、平均保険年数が約17年続くから、ということです。 

サブスク型のビジネスは、お客さんがその契約期間にどれだけの収益を生み出すのかを考えないと、その会社がかけられるコストがわかりません。大塚家具やニトリとは、そもそもコストのかけ方が違います。 

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

決算数値の内実を理解する

会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方 [実践編]
『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方 [実践編]』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

先ほど「会計の限界」という言葉を使いましたが、ここを補うため、ライフネット生命保険の決算説明資料では、決算書からは読み取りきれない内容を補足しています。投資家に対して、自分たちのビジネスにおいて重視している指標などを開示することで、リレーションをはかっていることがわかります。 

決算数値に目を通す際には「赤字だから業績が悪い」と思考停止せずに、その内実を理解することが重要です。 

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』
大手町のランダムウォーカー 株式会社FUNDA代表取締役

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おおてまちのらんだむうぉーかー / otemachinorandomwalker

Twitterフォロワー数10万人超。公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て独立。「日本人全員が財務諸表を読める世界を創る」を合言葉に「大手町のランダムウォーカー」として「#会計クイズ」を始め、さまざまな業種・立場の人をネット上で巻き込み好評を博す。

現在は株式会社Funda(https://funda.jp/)にて、営業メンバー・新規事業立ち上げメンバー向けにアプリを使ったビジネス研修サービスを提供。初の著書『世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)は紙・電子累計25万部を突破し、2021年1番売れた会計入門書(*)となった。
(*TONETS i 調べ)

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