僕は「聞いてなかったのかな?」と思って、「じゃあ、答えがわからなかった人は?」と聞くと、残りの生徒さんがみんな手を上げました。
「え!?」と混乱して、僕は聞いてみました。「なんで○にも×にも手を上げなかったの?」と。すると生徒さんはこう答えました。
「間違えたくなかったから」「間違って恥ずかしい思いをするくらいなら、自分は手を上げずにいたかったから」
みなさんの中にも、この心理が理解できるという人は多いと思います。間違えていたら、恥をかくかもしれません。うまくいかなかったら、誰かから責められるかもしれません。
それなら、最初から手を上げないほうがいいのではないか、と考えてしまうこともあるでしょう。
これは、日本人によくある話だといわれています。
「アウトプット」を怖がっては成長しない
勉強には2種類の行為があります。授業を聞いたり本を読んだりするインプットと、自分の意見を表明したり問題を解いたりするアウトプットです。
このうち、日本人はインプットするのが得意であり、アウトプットするのが苦手だと言われています。授業では「先生に当てられたくない」と考えてしまいますし、難しい問題に挑戦するよりも簡単な問題ばかりを解いてしまうということもあります。
だから、「手を上げない」という選択肢を選ぶ人が多い。間違ったり恥をかくくらいなら、アウトプットしないほうがマシだと考えてしまうのです。
別に手を上げること自体は簡単です。○か×か、正直わからなかったとしても、どちらかに手を上げれば2分の1の確率で正解できます。アウトプットすること自体は、実はけっこう簡単なのです。
でも、僕らは手を上げたくなくなってしまう。なぜなら、失敗を恐れているからです。間違えたくないから、アウトプットのハードルが上がってしまうのです。
しかし、実はここに重大な落とし穴があります。
人間は、間違えないと学べないのです。成功だけを続けていても、実は人間は成長できないのです。
みなさんだって経験があるのではないでしょうか。一度も失敗せずにうまくいっていることって、実はあまり自分の身にはなっていないはずです。逆に大失敗をして、痛い目を見て、恥をかいて、初めて人間は大きな成長ができるものです。
先ほどの○と×の例でいえば、もし生徒さんが手を上げてそれが間違っていたとしても、手を上げなかった生徒さんよりも多くのことを学べるはずです。
恥ずかしいかもしれないし、ちょっとつらいかもしれないけれど、それが逆に「次は間違えないぞ!」と思う心にもつながります。
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