スポーツは、やはりネット中継するべきだ サーフィン大会は世界で620万人が視聴
10月に、ターナー・ブロードキャスティングおよびESPN(スポーツ専門チャンネル)との新契約締結を発表した会見で、シルバーは次のように述べた。「試合をモバイル機器で見たいという需要が存在するとは考えている。しかし、それは結局のところ、テレビで放送される高品質のコンテンツを補完するものだ」。
一方で、プロサーフィン界はオンライン優先のアプローチを採用した。この戦略はゾシー・メディア(ZoSea Media)ホールディングスの発案によるものだ。ゾシー・メディアは2013年にASP(世界プロサーフィン連盟)を買収し、2015年シーズンの初めにワールド・サーフ・リーグ(WSL)に名称を変更した。
ASPは各地のグループがゆるやかに連携した組織だった。しかし、NFL(全米プロフットボールリーグ)でマーケティング担当幹部だったスピーカーは、このバラバラな組織を廃止し、放送を行うための組織基盤をひとつにした。
すると、この再編されたWSLにユーチューブがアプローチし、独占グローバル・デジタル・パートナーとなった。ユーチューブはストリーミング用のソフトウエアを提供し、それがWSLのウェブサイトとユーチューブのサイトおよびアプリに埋め込まれた。
「テレビを投げ捨てたわけではない」
ただし、WSLはテレビ放送を完全に投げ捨てたわけではない。各地域のメディアをいくつか選んで提携を行っており、ヨーロッパではMCSエクストリームなどのチャンネルと組んで試合を中継している。また、ABCなどの全国ネットにも、ハイライトや編集済みの番組を提供している。
スピーカーは言う。「私たちの戦略は当初から、『止まれ』の標識をすべて取り除き、代わりに『ようこそ』と書かれたマットを敷くことだった。そこに足を踏み入れたのがユーチューブだった」。