ランジェリーに殴り込み!革命児の壮大戦略

製品サイクルに注目したネット戦略で躍進

デザイナーのヘレン・ミアーズ、創業者のモルガン・エルマン・ウェイチ、ガリー・ブラヴァール(左から / 写真:Yana Paskova/The New York Times)

バレンタイン・デーを前に、ランジェリー販売のスタートアップ「Adore Me(アドーア・ミー)」の本社は目が回る忙しさだった。それもそのはず。この時期の1日の売り上げは通常の20%増し。ブラック・フライデー(感謝祭の翌日の金曜日。年末商戦が始まる日とされる)やサイバー・マンデー(感謝祭の次の月曜日。オンラインショップの年末商戦が始まる日とされる)に比べても2倍近くに達するのだ。

創業3年目のアドーア・ミーにとって、バレンタインはとても重要だ。ニューヨークのファッションの中心地にあるオフィスでは、壁に掛けられたスクリーンで2月14日まで秒単位のカウントダウンが行われる。

ランジェリー業界は、見た目以上に奥が深い。デザインやサイズが複雑で(ブラジャーは20種類のパーツでできている)、製品の企画から実際に製造するまでのサイクルが長く、最小限の注文が大量にくる。

「新しいブランドを立ち上げるなら、製品を100種類はそろえなければならず、ひとつにつき5000点から1万点は必要だ。つまり、実際に売る前に1000万から1500万ドルを投じることになる」と、アドーア・ミーの共同創業者でCEOのモルガン・エルマン・ウェイチは語る。「なかなか打ち破れない壁だ」。ヴィクトリアズ・シークレットが業界で圧倒的な存在なのも、それが理由だという。

セクシーさではなくライフスタイルを売る

実際、市場はヴィクトリアズ・シークレットとピンクの親会社であるLブランズ(旧リミテッド・ブランズ)の独り勝ちだ。調査会社IBISワールドによると、130億ドル規模の米ランジェリー市場で、同社のシェアは42%にのぼる。フレデリックス・オブ・ハリウッドやアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ傘下のエアリーなど2番手以下のブランドのシェアは、1ケタ台前半にすぎない。

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