ランジェリーに殴り込み!革命児の壮大戦略 製品サイクルに注目したネット戦略で躍進
エルマン・ウェイチがランジェリー業界に興味をもったのは2010年、ハーバード・ビジネススクールの2年生のときだ。恋人へのプレゼントにランジェリーを買いに行ったが、気に入ったものは高くて手が届かず、手頃な値段のものはいいと思えなかった。
勉強の合間に業界のリサーチをして、起業計画を練り、投資家たちに相談した。卒業してまもなく手を組むことになった同じフランス出身のガリー・ブラヴァールは、現在サプライチェーンと業務を監督している。
エルマン・ウェイチにとって、ファッション業界は遠い存在ではなかった。実家はフランス全土で衣料店を経営している。ビジネススクールに入る前は、マッキンゼーでジュニア・アソシエイトとして働き、アジアの製造業に携わっていた。
起業にあたり、デザイナーに直接依頼して、最初の商品の完成まで1年近く待つつもりはなかった。2012年1月に開設したサイトには、納入業者がデザインした商品が並んだ。ワインメーカーが、自社の畑のブドウがそろうまで、よそからブドウを仕入れるのと似たような発想だ。最小限の注文が大量に来る問題は、納入業者と交渉して数カ月単位で出荷を調整した。
実績あるデザイナーとの出会い
一方で、ブランドを確立するために独自のデザイナーも探した。幸運にも、ヴィクトリアズ・シークレットの元デザイン・ディレクターで、ワコール傘下のブランドで働いたこともあるヘレン・ミアーズが、起業家精神を感じられる新しい挑戦を求めていた。
レースの製造業者から紹介されたミアーズを「会ったその日に雇うと決めた」と、エルマン・ウェイチは言う。